誘惑の花

「あの、美奈子さんってここで働いていたんでしょう?」

 

さりげなく話を振ると

佐由美は待ってましたとばかりに

 

「そう、あの二人、ここで知り合って

恋愛に発展したんですよ~」

 

すると、店長もコーヒーの豆を取り分けながら

 

「ちょっとしたドラマだったよな~

俊哉はこの辺りじゃ、相当の不良で通っているからな」

 

「うん。うちの彼氏が怖いっていってるもん!

美奈子さんと知り合って、真面目になったとはいえ

悪で有名だったからね~」

 

「美奈子さんはしっかり者で、ここに来てからも

お客と遊び歩くこともなくてさ!

あ、ここにバイトに来る女の子で客と遊ばないのは

佐由美と京子さんだけだよ

ここで働いて5年になるけど、どの子も

すぐに客と出来ちゃってさ

出来ちゃって辞めるのなら、まだいいけど

誘われれば誰とでも遊ぶ子が多くて困ってたんだよ」

 

「そう言えば、俊哉さんはそんな女の子をひっかけては

仲間内で回していたとか、怖い噂ありましたよね~」

 

それは京子の今までの人生からは考えられないほど

恐ろしい犯罪だと思ったが

二人ともあっけらかんと

 

「まぁ、女の子たちも回されたって仕方ないって言うか

反対に喜んでる子たちがほとんどだったからな~

俊哉のあの風貌だろう?

声をかければ尻の軽い子は100パーセントついていくから」