逃亡

何日か一緒に暮らしてみると

ああ、お金がないのか?と気が付いた

食費、その他、十分すぎるほど渡しておいたはずだが

何かに使ったのだろうか?

別に何に使っても構いやしない

彼が普通の高校生らしく過ごせるのならば

無駄なお金なんかにはならない

 

「ショウ?お金、大丈夫?食費渡しておくよ」

 

ショウはきまり悪そうに

 

「あ、ありがとう」

 

それだけ言うと、お金をつかむと逃げるように

学校に行った

やはりおかしい

何に使っても私が何にも言わないことは知っているはずだ

私に言えないことに使ったのだろうか?

どんなことでも、犯罪でなければ許すに決まってるのに

まだ、私にそこまでは心を開いてくれていないのだろうか?

 

それから数日後

夜遅くなっても、ショウは帰って来なかった

そして、夜中、玄関のドアが開く音がした