逃亡
私は東京の住所を巴さんに渡すと
「はい、この話はこれでおしまい
二人に幸せになってほしいのよ!
巴さんもね!東京に出てきて困ったことがあったら
訪ねて来て頂戴」
私はそう言って、ちょうど来たタクシーに乗った
もっと、早くこうしてあげればよかった
あの二人は一番きれいで若い時に
思う存分愛し合いたかっただろうに
それが出来たのは私だけだったのに
私は、もしかしたら夫に惚れていたのかもしれない
部屋に帰ってきたらショウの様子がおかしかった
綺麗に掃除された部屋
そして、美味しい食事
でも、ショウは今までと違う
「ショウの言うとおりだったよ
巴さんの母親は、娘に対して親だから
何してもいいと思っていたからね
でも、自分が嫁いだ家のお金をすべて好きにできると
気がついたら、あっという間に納得して
さっさと帰って行ったけどね」