逃亡

でも、その時間はほんのつかの間の物だった

美佐子さんが買い物から真っ蒼な顔で戻って来た

 

「お義母さん、ここも危ないかもしれません

すぐに逃げたほうがいいです」

 

「え?何?どうしたの美佐子さん、

逃げるって?幸喜が関係してたやくざからなの?」

 

美佐子さんは首を振った

そして、私を見つめると

 

「お義母さん!狙われているのはお義母さんです

幸喜さんの関係していた組織は

今、お金に困っていて幸喜さんを探すどころじゃないみたいです

田舎から出てきた十代の男の子や女の子を使って

その子たちの教育で手いっぱいだそうです

でも、派手な動きはしないほうがいいし

今の職場はばれていないから、今の夜の仕事は

替えないほうがいいわ」