逃亡

「父と母は残ったお金でアパートを建てて

その管理人としてやっていくことに決めて

私が高校のころには三人で

そのアパートに住む大家におさまっていました

小さなアパートだし何かと物入りなことも続いて

私は高校に通うのが精一杯でした

それでも高2になると、もう、通うこともできなくなります

今、考えれば、方法はいくらでもあったし

私も勉強は好きで成績もよかったのだから

粘ればよかったものの

その頃の両親の選択が一番だと思っていましたから

高校を辞めると、父の昔からの知り合いの

スナックを手伝いに行くことになったんです

私は心の中では、嫌でしたが

父が話を決めてきて、仕方なかったんです

今時は毒親なんて言葉がありますが

後で気がつけば、父も母もお金さえあれば

『立派な親』が出来たのかもしれませんが

お金が無くなれば、子供でも売るような人間だったんです