逃亡

「私、会社で調査室にいたことあるんで

ちょっと、心当たりある人に調べてもらいます」

 

美佐子さんはそうあっという間に決断すると

息子の弁当と拓の朝食を用意した

拓は帰ってくると嬉しそうに、それを見つけて

 

「お義母さん、ありがとうございます!いただきます!」

 

「お義母さん!!!!

ちょっと、拓!甘えすぎだし

あんたは美佐子さんって呼びな!

まだ、籍が入っただけなんだから」

 

すると、拓は嬉しそうに

 

「美佐子さんって呼んでもいいっすか?

俺もそうしたほうが自然だと思うんすけど

美佐子さんがそう呼べって」

 

そう言いながら完璧な和食の朝ご飯をかっこんでいる

美佐子さんは笑いながら

 

「いいんですよ

私もそう呼ばれると息子さんと本当に結婚したんだな~って

嬉しいし、チェリーちゃんもママって呼んでくれるんですよ」

 

まあ、なんといい人だろう

すると、息子が起きてきた

息子は朝は薄いトーストにマーマレードを付け

ブラックコーヒーだそうで

さっと、熱々のトーストを差し出す

 

「あ、おはよう!ありがとう!」

 

私は遠慮なく

 

「美佐子さん、こんな息子のどこがいいのかね~」

 

「あ、陽介さんはセクシーなんで」

 

拓が思わず朝ご飯を吹いた!

私は大笑いしてしまう

確かに、夫もそうだった

息子は笑いもせずに会社に行く準備をして弁当を持って

出て行った