逃亡

驚いたことに息子の後ろから美しい女が出てきた

私は近所の若い嫁と逃げた夫を思い出した

無口で真面目な毎日は送るが

女に関してはまったくこらえ性がなく

気に入った女がいれば、いつの間にか連絡をしている

あの夫の子供なのだ

こんなことも考えておくべきだった

 

広いし部屋数も多そうだ

私とチェリー夫婦用の二部屋は確実にある

息子は気恥しそうに

 

「あ、えっと、彼女はそのうち籍を入れようと思ってる

美佐子・・・さん」

 

美佐子と呼ばれた女は美しいだけではなさそうだ

こんなふうに母親や娘が来ることは

本当は勘弁してほしいことだろうに

にっこりと優しく笑った