魔女
その旅館は今でもあった
くうちゃんのことを聞くと
すぐにそこの若女将が出てきた
「母が何かやったんでしょうか?」
美しく、落ち着いたたたずまい
20代前半であろうと思うが、今まで聞いてきた
くうちゃんのイメージからほとんど想像できないほど
真面目そうなしっかり者に見える
実はと、小さかった頃の話を瑞樹ちゃんがする
ここまでたどり着いた経緯は娘さんには酷だろうと
端折ったのだが
「まぁ!そう言うことですか
そんなことがあったって話は聞いてないんですけど
そう言うこともあったのかもしれません
私もこの旅館に置き去りにされたんですけど
母は破天荒だった祖母にそっくりだと
叔母が話していました」