魔女
「瑞樹ちゃん、よく気が付いたね~
でも、想像してたのと随分違ってたわ
これまで聞いた話では、絶世の美女になったかと
思っていたんだけど」
運転手だったおじさんの住所に向かいながら
そんな風に話すと
「私の知ってる限り、美しい女の人って
そんなに男を惑わすことはないみたいですよ
あのくらいがちょうどいいんですよ」
そういうものなのかと、私は感心した
その運転手に会うことはできなかったが
もう、10年も前に病気で亡くなっていた
それでも、そのおじいさん看取った知り合いの
おばさんがくうちゃんのことを教えてくれた
「ああ、あの子ねえ~
なんかとんでもない子だったわよ
でも、たしか、子供ができたんだよ
あの、おっさんの子じゃなかったから
あわてて、ここを出て行ったんだよ
あのおっさんは自分の子じゃなくても育ててやるって
言ってたんだけどね~」