魔女

私にはわからない、くうちゃんの良さが

瑞樹ちゃんにはわかっていたのだろう

社長は笑いながら

 

「実は違うんだ!

僕のほうが『つまんないからっ!!!』って

フラれたんだよ

出ていかれたんだ」

 

私はものすごく驚いたのだが

瑞樹ちゃんは、そうだろうと言う感じで

 

「それで、誰と逃げたんですか?」

 

「ああ、僕の運転手だった男

かなりの年齢だったのに、何が良かったんだろう?

今でも、思い出すたびに考えるんだ

あのおっさん、今はもう、

けっこうな爺さんになってるはずなんだ

お金もなければ、別にイケメンでも何でもなかったんだ

もし、彼女が捕まったら

ぜひ、僕に教えて下さい」

 

そう言って、その運転手の当時の住所を渡された