魔女
「くうちゃんとは、一緒に逃げようって言われて
ホント、ドキドキしたな~
そんで、新大久保のアパートを借りて
三か月くらい一緒に住んでたんだけど
ある日突然、帰って来なくなってさ
それで、ここに帰って来たんだよ~
鬼嫁だけど、まぁ、なんとか許してくれてさ」
「どこに行ったのかわかりませんか?」
「えっと~、あの頃、くうちゃんは『可愛い子猫』って
とこで、仕事してたんだけど
多分、そこの黒服と逃げたんだよ」
その当時の『可愛い子猫』のあった場所を聞いて
二人はそこに行ってみることにした
「なんか、能天気なお爺さんだったね」
瑞樹ちゃんが楽しそうに話すので
私も明るい気持ちになった
くうちゃんは悪い子かもしれないけれど
あのお爺さんには幸せを上げたような気がした