魔女

歯がまったくないお爺さんが出てきた

照れ笑いしながら

 

「何?くうちゃんの行方が知りたいって?

俺も知りたいよ~

あんなに楽しかったのは、俺の人生の中で

最初で最後!」

 

さっきのおばさん社長とはえらい違いだ

 

「ここに来たばかりのくうちゃんは

田舎娘だったんだけど、見る見るうちに綺麗になってな

その子が、俺にべたべたしてくれるんだよ~

あの鬼嫁にいつだってバカバカ!言われていじめられていた

俺にとっては天使だったな~

あの鬼嫁がいないときには俺の上に座って

ぎゅ~ってしてくれるんだ

金払って風俗行ったって、ゴミ扱いされるのに

あの、くうちゃんは全然、いやがらね~

そりゃ~鬼嫁の隠してたお金ぐらいやったって

罰は当たらねえだろう?」

 

この、小汚くて頭が緩そうなお爺さんの話は

くうちゃんのおじさんや、女社長とは正反対だ