魔女
そのころの私には何一つ見えてなかった
正野さんって人は子供をだしに私と話したかったようだ
私に興味があったとかではなく
人と話すのがただ単純に好きだと言う感じだった
実は私は学生でくうちゃんを預かっているのは
夏休みのバイトなのだと説明したかったが
彼女はひたすら、自分のことを話したがって
私には説明する暇もなかった
私自身、遠慮がちな所もあるので
彼女に限らず、相手の話を遮って話すことは出来なかったころのことだ
おもちゃはなくとも小さな女の子二人は
部屋の隅で楽しく遊び始めた
正野さんはそのころではめずらしい
ハーブティーを大人二人だけに淹れて
砂糖は入れない方が美容にいいなんて言いながら
おしゃれな感じにテーブルに置いた