おばさんであること
三人が食事をしているのは満里奈が新しく買ったマンションだった
それぞれが、得意な料理を持ち寄った
「素敵ね~私もこんなマンションで一人暮らししたいわ」
明美はさっきから部屋を見たり
窓からはるか下の外を見てうらやましそうに言った
美也も少しうらやましく思った
大輔のことや妹、弟、子供のためにと
家庭を守って来たが、
それが、本当に子どものためになっていたのかと
不安になって来て、すっか主婦としてやる気がなくなっていた
「本当に慰謝料も何も貰わなかったの?
このマンションを買うお金は?」
「お金は、藤沢とか鎌倉に祖父が結構土地を持っていたし
子供がいないって、お金が出て行かないものよ
私が贅沢するなんて、大した額じゃないし
お店をやってみたけど、スミカのおかげで
儲かってるしね」
「でも、ちゃっかりしすぎじゃない?
旦那さんと家と両方って!」
明美が相変わらずずけずけ言う
「でも、金銭的には損したわけじゃないし
夫がいる意味よね~」