おばさんであること
久しぶりに三人がそろった
明美が行ってみたいレストランがあるって誘ったのだ
美也もしばらくぶりにこんな時間を持った
真面目過ぎて思い詰める大輔の毎日に付き合うのは
うんざりしていた
妹が中学受験しなくなったことを
自分の責任だと思い込み
妹に勉強を教えると言い始めた
妹はもちろん、兄をバカにしているし
勉強なんかしないと
今まで平穏だった家の中が争う言葉が飛び交う場所となった
「美味しい!徹君はどうなったの?」
美也が聞くと明美は
「感心するくらい女の子をとっかえひっかえ連れて来ては
遊んでいんだけど、ま、いいかなって!
夫もお金を出してあげたら、従順で早く帰って来なくてもいいのに
早く帰って来て、夕飯を作ってくれてるわ」
「いいじゃない!料理する中年男性は行けてると思うわ!
それよりも聞いて!あの子、拾い物だった」
「何?見かけによらず、有能でいい子だったって事?」
「まぁ、ちょっと、頭が悪すぎて事務方には使えそうにないんだけど
ああ、頭が悪いって言うんじゃないか
知識がなさすぎなのね
学校の勉強ってしたことないって
中学はほとんど通わなかったって言ってたし
でも、これから覚えればいいし
何と言っても料理が美味しいの」