おばさんであること

美也は自分のことを思い出して

スミカが想像していた通りの育ちであることと

大輔が自分と同じ病気かもしれない

そう、思い立つと

スミカに対して親近感がわいてきた

彼女は恵まれない環境で育ち

生きるために努力している

それは、自分の子供たちなんかより

よほど、凄いと感心する

住む家もなく、ただ、自分の体一つで生きていく

綺麗ごとではない彼女の本当の姿は

美也に母親であることを忘れさせた

 

「これからどうするの?

何かあてはあるの?」

 

スミカはびっくりしたように美也の顔を見た

 

「おばさん、どうしたの?

ここはおごってくれるんだよね?

それからもなんとかしてくれるの?」

 

スミカはほとほと困っていたのだ

早急にお金を手に入れないと生きていけない

美也は家族のことを考えると

特に大輔のことを考えると、家に連れて帰るわけにはいかない