おばさんであること

美也は、二人の話を聞いて

それとなくスミカを調べ始めた

探偵社の調べではスミカに特定の居住地はないと言う

それだけでも驚きだ

今はだいたい、池袋のネットカフェで生活しているらしい

美也はそのネットカフェに行ってみた

そんな場所、専業主婦の美也には全く関係ない場所で

ただただ、胡散臭い場所なのだが

そこの前にしばらくたっているとスミカが出てきた

ジャージの上下で旅行用カバンを引きながら

暗い顔をしている

メイクを落とした顔はまるで病人のように青白い

病気なのではないか?

美也はそう思うと言葉をかけるつもりはなかったが

 

「ねぇ、あなた、どこか悪いんじゃない?」

 

そう、声に出した

スミカはすぐに美也だと気が付くと

うっとおしそうに

 

「何?大ちゃんとは最近会ってないよ

あんたの息子じゃ食べていけないからね」

 

「ご飯、食べてないの?」

 

「嫌なオヤジにあたっちゃってさ

こっちが油断してる好きに、お金払わずに逃げやがった」

 

美也には何のことかわからない

 

「ご飯、食べる?

そこのファミレスにしましょう」