おばさんであること

明美の恋はもう、終わっていた

 

「夫が許してくれるのならば

私が補填のお金をすべて出して

これまで通り一緒に暮らしたいの

坂の上とは連絡があっても、もう、会わないし

会いたくない」

 

満里奈は大声で笑いだした

 

「よかったじゃない!

お金があるっていいわよね~」

 

「でも、夫は許してくれるかしら?」

 

「それは、もう、そのつもりなんでしょう?

ご主人としてはお金を出してもらえば十分

その調査書、ある意味、脅迫・・・かしら?」

 

満里奈の言葉に明美は納得したし

脅迫だとしてもいいと思った

本当にお金を持っていて良かった

そうじゃなければ、坂の上との恋も

始まらなかったであろうし

夫も許してはくれなかっただろう

そんなお金が絡んでも、少しも、その気持ちが荒れない

なぜなら、明美は、いえ、かかわったすべての人が

おじさん、おばさんだからだろう