おばさんであること
明美はその夜、家に帰ったのは三時すぎっだった
坂の上とあのままホテルに入ってしまったのだ
自分でも思ってもいなかった行動
でも、心から幸せに思えた
でも家に帰る玄関の前まで
罪悪感にさいなまれ、何度、言い訳を考えたことだろう
しかし、帰って来てみたら、家は真っ暗
夫はおろか息子さえ帰ってなかった
家に入りベッドにもぐりこんだ頃
夫が帰って来た
「ごめん、ちょっと、会社で部下がトラブっちゃって
その処理に追われてたんだ」
そう言う夫の体からいつもの香水の匂いがした
徹は明け方帰って来て
制服のままベッドの倒れこんでいる
明美はもう、この家に何の未練もなかった
この年になって初めて、知った恋の喜び
そして、体を重ねあうことの幸せ
明美の中に指の先ほどの後悔も生まれなかった