おばさんであること

「今、何かそういうことに縋れる

最後の年齢なんじゃないかと思うのよ

そう感じて、振り返ると

色んな恋をしたけれど

あの時ほど恋焦がれて、素敵な恋はなかったって気がして

彼が一体どうなってるか、無性に知りたくなったの」

 

明美は呆れたように

 

「え~今更!

私は映画とかドラマでは憧れるけど

実際は良いわ

だって、初めての人が夫で、

それ以外の人と恋愛なんかしたことないんだもん」

 

明美のその言葉に満里奈のほうが驚いた

 

「そうなの?今時?

そう言えば結婚もほとんど政略結婚みたいなものじゃない

明美が出世を保証してくれる上司の娘だったわけでしょう?」

 

「そうだけど、それが普通だし

別に自分が実際にする恋愛には昔から興味がなかった気がする

結婚も父の言いなりだったんだけど

夫は今じゃあれだけど

イケメンで背が高くて、仕事ができて言うことなかったのよ

私、それまで初体験はおろか

彼氏もできなかったから」