戦争が終わってすぐの時代だ
女が男に面と向かって好きだなんて言う時代ではない
それを祖母は平気でやってのけ
祖父はころりと参ってしまった
母は中学の時に父親に
「なぜ、お母さんと結婚したの?
別れればいいのに!」
そう直接言ったそうだが、祖父にしたって
どうして祖母と結婚したのか全くわかってはいなかっただろう
わかっているのは結婚してみて
ものすごいお荷物をしょい込んだってことだけで
それまでは親族の中では
優しくて正確がよくて、親族一頭のいい青年だったのが
頭の悪い女の策略に乗せられた、人のいい男になってしまった