発達障害の母

もちろん、その頃

発達障害なんて認識は誰にもないから

よくできる子は目立つが

目立ってできの悪い子は

誰もが健康で人に迷惑をかけなければ

意に介しもしない

祖母は自分なりに

自分のばかなことがわからないよう

装うことを学んだ

足し算から先がちっともわからない

そんなこと絶対に誰にも言わなかったし

漢字、特に字が上手くなることに

殆どの頭を使った

その頃は字がうまいということは

とても大事なことで

字が綺麗で美しければ

誰もがなんとなく、この子は賢いんじゃないかと錯覚してくれるような時代だった