発達障害の母

戦時中のことだから

学校の成績など誰も気にしない

彼女が中学に行く頃にも

実は足し算がやっとくらいだったが

誰も、そんなことには気がつかなかった

姉に負けない!それが彼女の最大の

生きて行く目的だった

負けるも何も最初から

勝負にはならないのだが

彼女の中ではそれは分からなかった

ただ、時代的にもそうだが

『頑張る!』ことがえらいことで

彼女の中で結果は気にしないように

する事で自分を保っていた

それはそうだろう、どんなことをしても

勝てない姉、それも一つ上

祖母のその頃の自慢は

父親が祖母にだけ自分の布団を

敷かせていて

父親にはなんの意図もなかっただろうが

父の布団を敷くことが何より誇らしかった