発達障害の母

もう、ここには二度と帰って来ない

東京の大学に出るときに、そう心に誓ったはずなのに

私が子供と一緒に帰って来たのは

父があまりに可愛そうだったからだ

頭がよくて誠実で、少し芸術的な物を見る目が合って

動物が大好きだった

母は父のこと気が短い、男らしい人と私たち子どもに教えた

でも、それは、母が好きなタイプの男のことで

母は父がどんな男かなんて全く考えたこともなかっただろう

田舎の小金持ちの家の次男に生まれ

わりと、お坊ちゃんで育ち

そして、年頃になったら母に捕まった

いや、父な間抜けだったのだ

母が実際はどんな人間なのか、全く見る目がなかった