発達障害の母

無口になり、ただただ、酒を飲み

朝から飲むことも多くなった

いつの間にか父というと酒に酔っている姿しか思い浮かばない

父がそうなったころ、母は父に心置きなく文句を大声でいい

子供たちには父のことを困ったものだと言いながらも

のびのびと嬉しそうに家の中でぎゃぁぎゃあと好きなことを

喋って生きていた

子供だった私や弟は戸惑うばかりだが

そうなると、私も父から離れてしまう

殺伐とした家の中で母だけが明るく笑い

 

「何でも喋って明るい家庭にしなきゃいけないって

公民館に来た人が言ってたよ」

 

母は偉い人が言うことを絶対だと信じていた

偉い人と言っても農協主催して呼ぶ怪しい人間だったが・・・

酒を飲まない頃の父の話のほうがよっぽど立派で

その頃に母が父のことを尊敬していればこんなことにはならなかった

そんなふうにぼんやりと思ったものだった