その時代のことだ、そんなに理不尽な話でもないだろう
新築の家や土地、そして牛一頭
他の村の人間が聞いたらうらやましがるに決まっている結婚だった
そこに入って来たのがその頃、青年団の活動に熱心だった母だ
母には癲癇持ちの妹がいた
母が高校を卒業して何か職業に就くことは無理だと感じた
祖父は母をその妹の守役として
青年団の活動でも二人で入っていれば、村の何かの役に立つだろう
そう思っていたのだろう
その青年団の交流会で母は父を見て積極的に交際に持ち込んだらしい
父にしてみれば、もう、親族の間では公認のいいなずけもいて
そろそろ結婚だが、その前の社会勉強みたいな感じだったようだ