発達障害の母

父親は顔も覚えていない、物心ついたころには

いつも母親と二人だった

だいたい、東京の繁華街をうろうろしていた

母親はいつだって

 

「あんたはバカなんだから、もう少し

バカなふりをしときなさい

計算なんかできないふりしときゃいいんだよ

自分の名前も覚えられない感じで、わかった?!」

 

新しい男ができると、いつだって、バカなふりをさせられて

その男憐れみをかう役どころだった

そして、男と一緒になれると修二は施設に入れられて

男に逃げられて寂しくなると迎えに来る

そんなことが子供時代のすべてだったという

修二の子供時代の話を聞いていると

自分がどんなに幸せだったか、何も知らなかったと

泣きそうになる