発達障害の母
講義が終わって、急いでバイトに走った
うどん屋の伯父さんは講義が長引いたと言えば
私と恵子ちゃんは特別扱いで
他に何人か使っている人間はいたが
「学生さんは仕方ないよ!」
そう言ってその遅れた時間さえ時給をくれることがあった。
でも、それに甘えてはいけない
今日は恵子ちゃんは母親が緊急入院したからと
朝から静岡に帰っていたから
同じシフトの私は人手が足りないのもわかっていた
走ってうどん屋の裏に入ろうとしたら
誰か大学の門からつけて来ていたような男が手を引っ張った
つけてきている男がいるのは何となくわかっていたが
振り返ることもなかったし、気のせいかとも思っていた
そのうち追い越すかもしれないとも思っていた