発達障害の母
「あなたは弟君のこと
どう、思っているの?」
亜美ちゃんが妊娠していたことに苦しんでいて
弟から離れようとしているのはわかるけれど
本当のところはどうなんだろう
妊娠は困るが、そのことで弟を嫌っているなんて
わからない
まさか、この年で愛している人の子供は絶対欲しいなんて
思ったりしないだろう
そう、言った私の顔じっと見つめると
「なぜ?どうしてわかったんですか?
そんなにすぐわかること?
お父さんやお母さんにもわかってるんですか?」
恐怖におびえるような顔だ
私は彼女の手に自分の手をのせた
「安心して!たぶん、誰も知らない
妊娠していることも、誰も知らないし
その相手が誰かも誰も知らないと思うわ
お母さんに会ったとき、気が付いているようには
見えなかったものね」
娘が高校三年で受験前に妊娠しているというのに
大学の見学によその家に送り出したりはしないだろう
「お母さんは、そう言う人だから
いつも自信満々で自分が見たいようにしか見ないの
お父さんは仕事しか興味ないし」