発達障害の母

途端に二人が遠い人のように見えた

ここでは、よっぽどわかりやすい犯罪以外は

だれも、そこを深く調べようとはしない

その私の空気に気が付いたのか

ネコが少し低い声で

 

「あ~ちゃん、わかるよ

あ~ちゃんは16の時にこの村を出て行って正しいものの方向にまっすぐ伸びて行ったんだと思う

そうしなければ生きていけない世界にいたから

だから、今手に入れているものは

誰に恥じることのない地位や名誉だと思う

でも、ここは違うんだ

この村では犯罪なんか起きたら困るんだ

隣村からこの村はとんでもないと言われても恥だし

ここの若い人たちが嫌になって出て行かれても困る

俺はここの村長だから、ここの一番最低の人間だって

助けないといけないと思う

このことの真実がわかったとして、三ちゃんは帰ってこないよ」