発達障害の母

「家まで送って行くと

三ちゃんはあの性分だから

俺たちに水でもくれようとして

寄って行けって腕を離さないんだ

水って言ったって砂糖が入った麦茶だったけど

三ちゃんはそれを水って言ってたな」

 

友くんが懐かしそうにしゃべる

 

「ああ、あれはあそこのおばちゃんが

お隣に、よく、砂糖を借りに行くんだよ

自分ちに砂糖があるのにさ!

あそこのおばちゃん、昔からケチで有名だったからな

だから、麦茶の砂糖入りも水って言ってたのさ

三ちゃんはそんなことはわからないまま言ってたんだけどね」

 

「ああ、あそこのおばちゃん、ボケるとは思わなかったな

だって、とにかくお金に細かいしケチだし

そういうことになると頭が回るってみんなに言われてたもんな」

 

友くんがあきれたように話を続けた

 

「そんで、家に入ると、三ちゃんはそれを湯呑に入れて

俺らにくれるんだよ

でも、それがおばちゃんに見つかると

俺らがいる目の前で三ちゃんを火箸で叩くんだ!

俺ら一度、それを見てからは三ちゃんちに行っても

絶対、何も食べないよう、飲まないよう

気を付けたんだよな

あのおばちゃんの様子を見てたら

ああいうこと、やりかねないような糞ババァだったんだ」