発達障害の母

私は涙が出てきて、その場をすぐに失礼した

頭にくるくる回るのは、あの頃の三ちゃんだった

いつも、教室の隅っこのほうから眩し気に見ていた私

あの頃の気持ちがよみがえって来た

なんて、すごい子供なんだろう?

同い年なのに、なんて優しい子供なんだろう三ちゃんのことを

フランダースの犬』のネロだと思っていたし

アルプスの少女ハイジ』のペータだと思っていたし

燕に自分の目の宝石を貧しい人に運ばせる

『幸福な王子』だと思っていた

そして、私には無理だとここ頃から恥じていた

私はいつだって、母を嫌い、そして恥じていて

そんな自分がとても嫌いだったから私は

三ちゃんには近寄れなかった