あのお葬式
たぶん、誰もが悲しみ、誰もが彼のために泣いていたが
誰よりも尊敬していたのが私だとは
誰も知らなかった
それも、鎖でつながれていた犬の福ちゃんを助けに戻って
焼け死んだと聞いたとき
私は涙が止まらなかった
「え?あれは寝たきりのじいちゃんがタバコの不始末で
火がでて、三ちゃんは一度逃げてたのに、福がいたから
もどったんじゃなかった?」
「それがさぁ
三ちゃんの母親の千絵さん
最近ボケちゃってね、町の老人ホームに入ったんだよ
そこに、山之上の沖ちゃんの娘がヘルパーさんとして
働いているんだけどね
誰彼捕まえては、話すんだって!」