発達障害の母
母がいなくなれば、私はここには帰ってこない
ここに、何か私の興味をそそるものは何もない
それならばできるだけ深く付き合うのはやめて
そう、考えているのに
何かと村の人たちの好奇心の対象になっていて
遠慮なくやって来て私の近況を聞くおばさんたちは
悪気はないにしても
うんざりしてくる
玄関には母が出るのだが
好奇心丸出しで、家に上がってくる
そして、私に会うきっかけを、皆、持ってくる
「あ~ちゃん、ここらあたりもかなり変わったでしょう?
ほら、この菜っ葉懐かしいでしょう?
ここらあたりにしかできないからね
都会生活が長いから料理の仕方を忘れたかもしれないと思って
おひたしにしてきたよ」
私は人の作った料理が大嫌いだった
特に田舎の人は料理中に他人にあげるものだって
箸をなめなめ料理する人がほとんどで
そんな風に作った料理は食べる気がしない
それに訪ねてくるのはだいたい、私より10くらい上の
おばちゃんたちで、子供時代母のことで
冷たい目で見ていた人たちだ