発達障害の母

朋ちゃんは私がプレゼントしたお皿を握りしめて

 

「東京に来たら、おしゃれなワンルーム

ドラマみたいに暮らせるって思ってた

だから、一度、このお店を抜け出して

家において来た住所、雑誌の後ろを見て書いたんだけど

あそこに行ってみたの

でも、高くて買えないし、使う場所もなかった

田舎の家ならばお父ちゃんやお母ちゃんの年金の管理は

私だから、残ればあの喫茶店にコーヒーを飲みに行けるし

やっぱり、帰りたい」

 

そういうことか。

「その若奥さん、いつ退院するの?」

「そのうちって言ってた」

「じゃぁ、このまま帰る?」

「田舎に帰ったら、お兄さんが怒るかも」

 

それは何とかなると思った

今のところ、朋ちゃんしか雅ちゃんの下着のことは

知らないと思っているから、これを広めればいいのだ

私が知って、ネコが知って、友くんが知って

それでもたぶん、警察沙汰にはならない

そんな村だ

だから、朋ちゃんが困るようなことにはならない