発達障害の母

それは殺人じゃない!

でも、それでも村ではなんとなく許すのだ

 

「それで、兄さんは、あ、姉さんの旦那だから

私は今でもそう呼ぶんだけど

私の願いをかなえてくれるって言ったの

私、長いことあの村から出たいって思っていたんだけど

お金もないし、親はいるし、どうしようもなかった

だから、東京に出るあてを紹介してくれたんです」

 

ああ。そういうことか。

それが、このせんべい屋か。

 

「親は見なくてもいいの?」

そこは、雅ちゃんの旦那が何とかするのだろうか?

友くんの家に託すつもりだろうか?

それはそれでいいかもしれない。

あんな村で長い間誰かと恋愛もせずに生きてきたのだ

楽しいことなんか一つもなかったのだろう

ただ、私の口から無意識にその質問が出た

私はほんとは親など見たくない

だから出た言葉だったのかもしれない