発達障害の母

「あの頃、村中で心配してたんだ

この村から初めて大学に行く子なのに

あんな奴に捕まって

どうなるんだろうって

あいつの女グセの悪さは有名だったんだけど

あいつの叔父さんが博多あたりから来て

ヤクザみたいな奴だったから

誰も何も言えなかったんだ

こう言うことって普通なら

母ちゃん同士でなんとなく注意したり

村の力あるばあちゃんがしゃしゃり出て

話したりするのに

あ〜ちゃんちって

母ちゃんが、まぁ、あれだろう?

だから、まさかおじさんに言うのもなぁ

2週間くらいの間だけで

あ〜ちゃんは東京の大学に行くからって

みんな、ハラハラして見てたんだ」


自分のことで真っ赤になって

ああ、やはり、私が知らなかっただけで

母のことはみんな知っていたのだ


「そしたら、あ〜ちゃん

すぐに立ち直って、

しっかり東京に旅立って行ったから

村中で安心したんだ」