発達障害の母

おぞましさに背筋が凍った

そんな人間に、さっき笑われたのだ

いや、でも、そんなおぞましい話題から

なんとなく、その星田医院の後家さんにも

いい印象は持てなかった


家に帰ると母親が

私が買ってあげた化粧品の話をして

嬉しそうにしている


母は昔から化粧は大好きで

家族で出かける時には

鏡の前に1時間は座っていて

出かける時間も構わず

自分の顔を撫で回していた


その頃は母親とはそういうものだと

何も考えていなかったが

化粧をしても美しくはならない母を不思議な

気持ちで見ていた


自分が化粧をするようになると

母は小学校三年生がこっそり

鏡台の前でやるような化粧だった


東京の巣鴨あたりに行くと

年をとって、若い頃の化粧が似合わなくなり

濃い化粧で見苦しいおばあちゃんも

けっこういるが

母の場合は50年も前からそんな化粧だった