発達障害の母

ただ、私一人が

「そう、ふ~ん」

そんなことをつぶやきながら母の話を聞いた

小学校の図書館にある本はすべて読んでいた

だから、ちゃんとした子供が母親に対してどうしなければいけないか

よくわかっていて、父親の対応や弟の態度には

イライラしたが、自分の中で

この母だから仕方がない

そんなあきらめの気持ちもあって

家族で食べる朝ごはんや夕ご飯はストレス以外の

何ものでもなかった

 

その頃、テレビ番組はなんだか

こうせねばならない

立派な家族とはこんなものだ

そんなものが多かった気がする

テレビをほとんど見ない母はそんなところだけ切り取って

そんな人に誇れる家族でありたいと思っているようだった

そうならない理由が本人にあるとは全く気が付いていなかった

それは、そのころの子供の私にもわかっていなかったから

テレビの中の家族、小説の中の立派な家族

そんなものがまるで、夢のようで

長い間、立派な家族の中で育たなかったという思いが

私のコンプレックスとなっていた