発達障害の母
電気釜だから普通にコメをといで
分量分の水を入れる
羽釜の中にメモリがついている
試しに聞いてみる
「二合だからこのメモリまで水を入れてるよね?」
すると母は無邪気に驚いたように
「え?そんなメモリがついていたの?
知らなかったわ~」
「この電気釜、章ちゃんが買って送ってくれたんでしょう?
もう、10年前くらいだったと思うけど
お母さんに送ったって、なんか聞いたような気がする」
章っていうのは三歳下の弟だ
「そうよ」
「使い方、ついていたでしょう?
取扱説明書!」
「ついてたわよ
ほら、そこにある」
説明書はわかりやすいところに置いてあった
「読んだ?」
「ううん。読んだことない」