低い山々

母親が自分の意識に登ったことなど

一度もなかった気がする

16くらいから実家から出ていたので

そこから40年

母親は妄想の中の人となっていた

世の中の常識通りの

子供を愛して、まっすぐで

料理が上手くて、冗談は言わない

優しく美しく人間的に立派


それが、ずっと、勝手に思っていた

自分の母だった

生きることに一生懸命で

母と会うこともほとんどなく

たまに電話で話す程度


母をしっかり認識する必要は

私には今までなかったのだ