底から

一番底辺だった自分の生まれ

東京に来て四十年

その底辺から登ることだけを考えた


それがうまく言ったとは思えないが

もう、限界であることは、

黒く、立ち並ぶ高い建物

そして、高校の頃の自分のまま

周りの人間に馴染めない自分

それは、自分の戦いが終わったことを

知らせてくれた


その間父は死に、

あの、暗くて臭い牛のいた

小さな村の田舎の家は売られていた


弟はとっくの昔に都会に出て

そして、そこで生活を築き

幸せになっていた


私は生きる価値も見出せないまま

フラフラと彷徨っていた