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発達障害の母

「あの頃、村中で心配してたんだこの村から初めて大学に行く子なのにあんな奴に捕まってどうなるんだろうってあいつの女グセの悪さは有名だったんだけどあいつの叔父さんが博多あたりから来てヤクザみたいな奴だったから誰も何も言えなかったんだこう言うこ…

発達障害の母

友くんとひとしきり思い出話に花を咲かせているとさっきから農協の若い子達が引き上げて言った最後に残った、さっきの若い男の子がお会計をしながら「おじさん、今月は菜の花が最盛期で大変だろう?でも、おじさん地の菜の花は特によく売れるから頑張ってな…

発達障害の母

そこに新しい客が入って来た農協の若者たちに声をかけると農作業用のつなぎの格好でカウンターに座るあっと私が気がついた時に向こうから「あ〜ちゃん、母ちゃんの世話に帰ってるんだってな!このくらいの時間にはここによくコーヒーを飲みに来てるって聞い…

発達障害の母

私は春休みの2週間あまりでその男の子に徹底的に弄ばれたそれからは東京での生活しか知らず田舎に帰ることもなかったからただただ、苦い思い出としか言えないが今、数人の農協の若い職員だというその中の男の子の一人があまりにもその、彼に似ているでも、彼…

発達障害の母

その、男の子は中学の卒業式が終わった頃村の塗装屋に遠い親戚だと都会からやって来たらしいその頃には私は親戚の下宿先に行っていたから、それから三年間の彼の行状は全く知らなかった「君、この村の人なの?」そう言って近づいて来た全く男子など見向きも…

発達障害の母

合格はしたが身の丈にあった高校ではなかった多くは県内から集まった優秀な家柄の良い子供達で特に遠くから来ている子はお金の余裕もある子たちが多くひたすら勉強についていく三年間だったそれでも、なんとか同じ学年の中でも恥ずかしくはない程度の大学に…

発達障害の母

その男の子の顔を見て何かがよぎったそして、馬鹿だった昔が蘇ったそれは大学に入学する前の春だった気がする高校時代、私は親戚の家に下宿していた私の中学からは電車で一本のところに学年の半分は行く高校があったのだが私はそこに今の家から通うのが嫌で…

発達障害の母

今日は珍しく若い人が多かったこの、小さな村で若い人を見ることはほとんどないこのカフェでも通りすがりのドライブの途中の若者はたまに見かけるが今日の4、5人はなんだか地元っぽい「マスター、あれってここの人?」「ああ、役場の若い職員月イチくらいに…

発達障害の母

毎日コーヒーを飲みには行くが時間は決められない母私の手がいるわけではない生活ははたから見ればほとんど普通だししっかりしているし体の健康も申し分がないでも、私が一人で外に出たり用事をしたりするのを極度に嫌がる「せっかく一緒にいるんだからなん…

発達障害の母

少し意地悪な小学生のように大人なら絶対にしないような言い方をしたりする教師が少し言い間違いをしてもすぐに揚げ足をとって喜ぶように相手の間違いを遠慮会釈なく笑い、蔑みそして、その後も長いこと言うこの嫁は少しおかしいと許そうと思っても人間だか…

発達障害の母

むかし、うちの家は周りが親戚だらけだったすぐ上に祖父母、横には叔父夫婦母にとっては姑と兄嫁がすぐ近くに住んでいることになる母はものすごくいじめられて大変だと自分の身内に愚痴を言っていた子供の私はそういうものかと別に気にもせずに過ごしていた…

発達障害の母

誰も変わってないんじゃなかろうか私もそうかもしれない小さな子供の頃から母親が好きだと思ったことが一度もないそれは家族みんなだった気がする母親以外は人間として言ってはいけないそんな言葉は知っていたから母に対して不満を浴びせはしなかった父はお…

発達障害の母

化粧をしている母を見てイライラしたが黙って化粧直しをしてあげるすると、嬉しそうだが「あ〜ちゃんの仕方だと顔がぼんやりしちゃうようだけど」そんなことを言うのでこれから出かけるわけでもないから一番派手な母のお気に入りのシャネルの真っ赤を塗って…

発達障害の母

おぞましさに背筋が凍ったそんな人間に、さっき笑われたのだいや、でも、そんなおぞましい話題からなんとなく、その星田医院の後家さんにもいい印象は持てなかった家に帰ると母親が私が買ってあげた化粧品の話をして嬉しそうにしている母は昔から化粧は大好…

発達障害の母

「いじめ殺したって?」私が驚いて尋ねると「まぁ、たぶん本当のことだと思いますがねあそこの爺さんが倒れて半身不随になった時に病院に入れるのはお金がかかるからって、息子と母親が二人で面倒見るからって家にいたんですがその姑さんも意地悪な人で、看…

発達障害の母

雅ちゃんが帰って行くと「助かりましたよ〜あの人、最近は愚痴を言っては酔いつぶれて、合間に僕に相槌をもとめるから知らなくていい話まで知って来ますからね田舎に、こう言う店を出すときにそういう田舎の揉め事には絶対にタッチしたくないって思っていた…

発達障害の母

帰って来ると延々と苦労話が始まった「とにかくいじめられてなぁ子供ができないってだけでこんなにいじめられなきゃならないなんて苦労したんだよ〜今まで我慢したのに50幾つになって真剣に離婚してくれなんて言われるとは思ってもいなかったわそういえば、…

発達障害の母

「星田医院だよ」小学校の頃、私がどんなに頑張っても彼には勉強では勝てなかった星田光男だ田舎には珍しく茶色の髪で色が白く、背も高かった中学までは一緒で、中学では女の子には人気でバレンタインの時にはチョコレートを山ほどもらっていた本人はそうい…

発達障害の母

うなずく私に「ちょっと、トイレ!」そう言って雅ちゃんは立って行った「雅ちゃん、あんな風に言ってたけど浮気したり、遊びのうちは結婚してたほうがやりたい放題できるからさあそこの旦那たち悪いんだよ独身の素人のお姉ちゃんばっかり引っ掛けて相手を本…

発達障害の母

私は穴があったら入りたいくらい真っ赤になる小学校中学、そして、高校は算数ができなくても入れるような高校に行った雅ちゃんを今の今まで心から軽蔑していたのだが一瞬にして私の方がドット、底辺まで落とされた気がした「ああ、ごめんなさい」「いいけど…

発達障害の母

それを聞いた時の私の顔に何か表情がさっとよぎったのだろう小学校をの頃の彼女はただ、不衛生で小汚いだけの子供だった気がするし中学の時は早くからませていて髪をカールして来たり口紅をつけたり似合いもしないのに男の目だけを機にする小汚く痩せた女で…

発達障害の母

「あ〜ちゃんとは中学までだったよねうちはなんとか、商業高校には入れたけど勉強はできないし、ども、そこで隣町の今の旦那と知り合って大恋愛をして結婚したのよ子供さえできてれば何の問題もなかったと思うよ旦那の家は農家だし今時でも子供のできない嫁…

発達障害の母

「そうなの。全然知らなかったわ雅ちゃんは今、どうしてるの?」「離婚されそうになって泣きに来てるのよね、マスター」すると、マスターはとりなすように「いや、雅子さんところは旦那が悪いんだから別れた方がいいよ」私は何のことかもわからないので黙っ…

発達障害の母

小学校の頃が鮮やかに蘇った私は今と同じように彼女をバカにしていた頭が悪かったから本が全く読めない彼女に教師が国語の教科書を読ませてもつっかえて読めないからすぐに朗読のうまかった私が代わりに読まされたものだったもちろん、バカにしているなんて…

発達障害の母

それが今日は珍しく来たばかりらしく 私が入っていくと、こっちを向いた 白髪交じりの汚い髪の毛を黒いゴムで縛り 今まで泣いていたかのように顔は濡れていて それもしみだらけのすっぴん 腹は出ている小太りで、ジャージの上下を着ている 足は一時期はやっ…

発達障害の母

コーヒーは美味しかった 県庁のある街でサラリーマンをしていたが コーヒー好きが高じて、どうしても店を出したくなったマスターが 古民家をただ同然に買い取って、趣味で始めたのだ 私よりも10歳は若い、サラリーマン時代は仕事ができたであろうが 今は田…

発達障害の母

そんな高尚な場所から 今の母のところに来たのだから かなりのストレスで、一日に一時間くらいは 毎日、田舎にある喫茶店にコーヒーを行く習慣ができた 母はコーヒーの匂いも嫌いだから 一時間、コーヒーを飲みに出るのは 唯一の私が自由になる時間だった 東…

発達障害の母

できるだけ母に寄り添い 一緒に静かに世を送る そう思って帰ってきたのだ 主人の義母との最後の日々はそんな感じだった 義母の横で暮らしているだけで それまでの人生のつらさや幸せだったことが もう、遠い出来事として流れていて そこから人生がなんである…

発達障害の母

母は私に合わせて いい人を演じるためにその犬に遠くから かわいいわねぇなんて言って手を振る 犬は正直だし、嫌いな人はよくわかる 母のほうを見て、しっぽを振るのをやめて う~と歯をむき出す ああ、母の人付き合いはこんな感じだ 普通の人のように愛想よ…

発達障害の母

犬や猫に対しては敵意しか持てないようで 結婚して母とはめったに会わない生活をして 家庭を持った私の家は家族の一員として犬や猫を飼っていたのだが それが、遠く離れて暮らしていても気に入らないらしく うちの話を弟とするときには必ず 「あんな物を飼っ…

発達障害の母

最近では空気が読めることを 実はそんなにいいことではない そんな風に言うようだが 本当に空気が読めない人の困るところは 道徳的に間違っていることを 平気で言ったりするところだし 誰かが傷つくことを気にもせずに ずけずけとみんなの前で言うようなこと…

発達障害の母

子供もそんな風に男好きであれば 何の問題もないだろう 母はその時、その話を嬉しそうに 家族で夕ご飯を食べているときにしゃべった 子供の前でする話ではないと 父は怒り出したし私も聞きたい話でもないし 好奇心はあったが、家族団らんの時に話すことでは…

発達障害の母

人のせいにしてはいけない 子供たちにはそう言いながら育ててきた 私は私が今の私であることを 母のせいにはしたくはないし 母のせいではないといいたい ただ、ただ、この母親でなかったら その気持ちはどんなに消そうとしても 心に浮かんでくる 小学校のこ…

発達障害の母

子供のころは好き嫌いが多かった でも、家を出て一人で暮らすようになった途端 別に嫌いな食べ物などないことに気が付いた それが、母の料理の下手なせいだと気が付いたのは ついこの間だ 何十年も子供のころは好き嫌いが多くて 大人になって何でも食べられ…

発達障害の母

たぶん、それは発達障害のせいではないだろう 発達障害であったとしても 素直でいい人ならば、家族三人はもっと、母が好きになっただろう 素直なのは確かだ 史跡巡りよりも買い物が好きで、知的なことには興味がない それは口に出さなかったがよくわかって、…

発達障害の母

それで、家族で近くの史跡巡りは 車が来て最初の一年くらいでなくなった その代わり、その頃地方によくあった 少し郊外の大型スーパー 一週間分の買い物を家族でやる 母はそれが大好きで、それに行くことが 日曜日の目的となった 父は買い物には興味がないの…

発達障害の母

そんな中、父は軽自動車ではあったが 家族四人が乗れる自家用車を持っていた それに乗って休みの日に家族で出かける ただ、母は時間までに何かを手際よくできはしない だから、母親が化粧が終わるまで 車の中で三人でイライラして待っている 父は母が発達障…

発達障害の母

高度成長時代の理想的な家庭 年寄りのいない核家族 夫婦二人に子供男女二人 田舎の小さな村で世の中とつながっているのは テレビだけだったから そんな家族を演じたい母の気持ちはわかってはいたが それは、母がいるから無理だとも三人とも 幼い弟ですらわか…

発達障害の母

ただ、私一人が 「そう、ふ~ん」 そんなことをつぶやきながら母の話を聞いた 小学校の図書館にある本はすべて読んでいた だから、ちゃんとした子供が母親に対してどうしなければいけないか よくわかっていて、父親の対応や弟の態度には イライラしたが、自…

発達障害の母

小学生の私の中に 親に対して理想的な対応をしたい そう思う気持ちと 自分の中の困った思いや 悩んでいることに対して 何か手を差し伸べてくれるような母親ではないことは 理解していたこともあって 母親とコミュニケーションをまともにとることは 考えても…

発達障害の母

夕ご飯が終わると、弟はテレビを見て 私はこたつに首まで浸かって、本を読む テレビを見ている弟は許せても 寝そべって本を読んでいる私は 母から見たら女の子のくせに怠け者ということで 片付け物をしながら、何かとぐちぐち言われた 母親の言うことを聞か…

発達障害の母

口汚い母親の言葉に追い立てられるように インスタントラーメンを作る 夕ご飯って言ったって家に箱買いしている インスタントラーメンで、それに 家の前の畑でとれたねぎを入れるだけだ 弟が卵を見に行く 卵は近くの養鶏場が売り物にならないために 二束三文…

発達障害の母

小学校三年くらい 平仮名や漢字を少しずつ覚え始めたころから 本を読むことが何よりも楽しみになっていた 家は貧乏な農家で母親は土方仕事に出ていた 朝ご飯はだいたい、白いご飯とみそ汁と漬物 田舎の小学校で弁当を持っていく毎日 母親は白いご飯とソーセ…

発達障害の母

こんな母と一緒に生活していくうちに 最初は母にイライラした 「料理をする台所の調理台の上で 髪の毛を溶かすのは、とりあえず、やめて! 化粧は長年そこでしているんだから 仕方ないとしても、髪の毛は別のところでとかさないと 料理に入るでしょう?」 母…

発達障害の母

しかし、ヤンキーならばまだ、いいのかもしれない 知能はもっと、下だ 朝ごはん 炊き立ての白ご飯 やたらの具が多くてまずい味噌汁 納豆 母は発達障害の上に猫舌で かなり冷めてから食べ始める 私は熱いところを食べたい しかし、母は冷たい納豆に生卵をかけ…

発達障害の母

私は、いや、世の中の多くの普通の人が ヤンキーの女の子に顔をしかめるはずだ 私自身の中学、高校の頃に学年に数人 そんな子たちがいたのは知ってはいたが 決して話したこともそばに近寄ったこともなかった 子育てをするにおいても 子供たちが思春期の頃は…

発達障害の母

その少女はなぜか家庭のことは話したがらず どこから新宿に来たのかも言わなかった 一番仲のいい同じような仲間の女の子の おばさんのうちで厄介になっているという おばさんは新宿で小さなスナックをやっているらしく そこで寝泊まりをしているが その友達…

発達障害の母

帰ってきて間がないころは それをうれしく思っていた でも、すぐに、それがただ単なるポーズでしかないことに気が付いた 学生時代にボランティア活動の一環で 新宿や渋谷にいる中学生くらいの女の子で 真面目に生きることもなくふらふ遊びまわっている子の …

発達障害の母

私の中では、母は常に普通の老人であってほしい そんなに、変な人間ではない 発達障害の人間には素晴らしく才能がある人は多い 友人の息子は数学で博士号はとっている 母にいいところはたくさんある そこまで考えて、どこだろうともう一度自分に問う 素直で…

発達障害の母

いや、発達障害といっても字は読める 漢字は書ける、字はうまい 小学校に上がる前のわたしに『あいうえお』を 教えてくれたのは母だったはずだ しかし、母が本のようなものを読んでいるのは見たことがない それに、今の生活を見ていると 買ってきた商品に書…