誘惑の花

「あの新しい人、綺麗な人ね」 美奈子は聞きたいことは山ほどあったが あまり根掘り葉掘り聞くのも嫌らしい 俊哉が一発で好きになりそうな女であることはわかっている 店長も佐由美も京子が俊哉を狙っているのは 何となくわかっているでも、俊哉と美奈子のな…

誘惑の花

それでも、京子は自分からは誘わなかった 俊哉が美奈子を連れてくることがある以上 京子は俊哉に結婚を前提とした彼女がいることは わかっているはずだ それなのに自分から誘ってくる女は 俊哉の好みの女ではない! 京子はそのことをよくわかっていた 俊哉は…

誘惑の花

京子はしっかり計算していた 俊哉の女の好み 自分よりか学歴が上で、真面目な子 顔は良いほうが良くて 切り返しがうまいと嬉しそうにする たまに佐由美が話し相手になったりしているが あまりのつまらなさに 「バカか!あっちいけ!」 なんて言う所は容赦な…

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京子はその話を聞いて、俊哉を自分のものにするチャンスは まだ、あるようだと思う 真面目なだけの頭の弱い女 そんな女には俊哉はもったいない そう思ったのだ それからは俊哉が来ると露骨にそばに行き 店が暇なときはできるだけ話をした 店長と佐由美は 「…

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京子はすぐに 『私だ!』、私に会いに来ているのだ そう思った 京子は二人に一番聞きたいことを聞けなかった 美奈子がそんなタイプならば、もしかしたら 結婚するまでは体の関係はダメだと言っているんじゃ? でも、そこは聞けない でも、それから何日か経っ…

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美奈子がここを辞めたのは いい寄る男が多くて、俊哉が心配して 今の工場に仕事を変わるように頼んだのだと言う 二人はこの間京子が見たように 今もラブラブで最初の約束を俊哉が守っていると言う 京子は少し考えた ここで一人でコーヒーを飲みに来るのはな…

誘惑の花

「ね~、ドラマみたいでしょう! 私もあの二人みたいな恋愛してみたいわ~ 私たちは、高校から付き合って 親も公認だし結婚もどっちの親も良いって言ってるんだけど 彼がもう少し、男友達と遊びたいなんて言うんだから」 店長も 「本当に美奈子ちゃんは良い…

誘惑の花

ひと段落すると、コーヒーを飲み終わったのに 立とうとしない俊哉に美奈子が しっかりした声で 「女遊びはしない! 仕事が終わったら、まっすぐここに来る 休みの日は一日私と過ごす どんなことがあっても悪いことはしない お給料は全部、私に渡す! それを…

誘惑の花

京子は美奈子を褒める佐由美にイライラした 電話番号くらい、覚えるわよ! 何、その家庭!姉がそんな人なら美奈子って女も そういう所、あるんじゃないの? そんな風に心で思っていると 「結局、美奈子さんが養子を取るとかで 俊哉さん、婿に入ってもいいぞ…

誘惑の花

「すぐに住所と電話番号は覚えたんだろうな でも驚いたことに、覚えていたのは美奈子ちゃん 俊哉が財布をここに忘れたんだよ 美奈子ちゃんがスラスラと電話番号を言ってさ あの時は驚いたね」 店長は佐由美に同意を求めると 「あ、でも一緒に仕事してて美奈…

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佐由美は 「俊哉さんですよ~ 私も彼にフラれたら、速攻、ついて行っちゃいます」 そんなことを言う 「でも、結局、付き合うことになるんでしょう もうすぐ結婚するんでしょう?」 そう促すと 「ああ、それがね~俊哉は美奈子ちゃんに 本気で惹かれたんだろ…

誘惑の花

店長は頷きながら 「俊哉って周りにいた女は本当に ズべ公ってやつしかいなかったし 自分が誘えば100パーついてくる女しかいなかった中で 美奈子ちゃんはなびかないし、男に興味がないって感じに やられたんだろうな~って思うよ 美奈子ちゃ、ほら、見た通り…

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美奈子がここでバイトをしていた頃 俊哉は連れの啓介と二人で、毎日コーヒーを飲みに来ていた とにかく、ここでバイトする女の子は尻が軽く 誘えばすぐについていく 二人は揃って身長180超えのイケメン しかし、中学のころからの悪二人組ってっていうのは…

誘惑の花

「それが、今、お客さんでよく来るんだけど 普通っぽいよ!」 そんな風にはとても見えない だいたい、ピアスの穴や崩れたヤンキー特有の服なんか 全くない!どちらかと言うとごく普通の作業着や 真っ白のTシャツがよく似合う爽やかな成年って感じだ 私の信…

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彼女とは中学が違っていた 俊哉は同い年だ、美奈子のほうが2個ほど上らしい あ、学区が同じかもしれない 「ね、ね、中学の時に俊哉って同級生いなかった? 背が高くて、今は180くらいあると思うんだけど」 すると、彼女はビックリした顔で 「え~どうして知…

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その話は引くほど京子を驚かせた 京子はこの辺りでは、普通に頭がいい高校出身だったし 父親は公務員で悪いことなんか絶対にしない そんな環境で育った でも佐由美にしたら、親の財布からお金を抜くのは 当たり前のことだし中学時代に自転車の一台も盗んだこ…

誘惑の花

「あの、美奈子さんってここで働いていたんでしょう?」 さりげなく話を振ると 佐由美は待ってましたとばかりに 「そう、あの二人、ここで知り合って 恋愛に発展したんですよ~」 すると、店長もコーヒーの豆を取り分けながら 「ちょっとしたドラマだったよ…

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自分にも惚れている彼がいながら 何で、うらやましいんだろう そう思っていると 「美奈子さん、結構お金溜まったって言ってましたから 結婚も、近いみたい 私はまだまだだなぁ~」 すると店長が 「でも、土日彼の実家に泊まりに行ってるんでしょう? 親公認…

誘惑の花

「美奈子さん、幸せそうですね~」 この喫茶店『小峰』で働いているのは 40になる独り身の店長 彼はこの辺りの出身ではなく、どこか違う県の人間らしい 背が低く見た目もパッとしないが 仕事のやり方も融通が利かなくて 京子は彼に何の興味も持たなかった も…

誘惑の花

すると、遅番で入って来た店長が 「俊哉、久しぶりだな~出張?」 「うん。おやっさんが大阪に仕事の手伝いに行くことになって 俺もついて来いって、言われてさ!」 「この人、腕だけはいいからね!」 後ろの女がそんなこと嬉しそうに言う 店長が 「美奈子ち…

誘惑の花

初めて目が合ったときに 京子のほうが、すぐさま何か気持ちを送った それは意図したものではなく そうせずにはいられないような彼の風貌と持っている雰囲気 そんな物に打たれた 俊哉はお!っというような顔をした それから、後ろを振り向くと 「新しい人、入…

誘惑の花

京子はもともと頑張り屋さんで 素直な方で、田舎にいるときは 真面目で、誰からも尊敬されるような人間だった それが、東京の大学に行き、それから就職して あんなことになって、世の中、まっすぐではやってられない 仕事に一生懸命になれば 誰かを裏切るこ…

誘惑の花

京子はここでの評判がすごくよく お客さんに褒められることはすごく多かった だから、嬉しい この仕事をしっかりやっていこう そんなことはつゆほども思わなかった 京子は東京でライターをやっていた 仕事はもともと、子供の時からやりたいことだったし その…

誘惑の花

つまらない仕事 そう思いながらコーヒーを運んだ ああ、この人は一か月に一度だけこの店に寄る人だ 京子は人の顔はすぐに覚える 「私が入ってから、三度目ですね 福岡あたりからの出張ですか?」 そつなく声をかける 「よく覚えてるね うん、毎月検査に立ち…

逃亡

ショウは信じられないくらい、あっさり死んでしまった 結局、母親がショウを探し当て 私と住んでいることを探り出し うまいことやっている我が子に 婆さんからすぐに金を引き出すよう言ったらしい ショウが渋っていると、母親の男が 手っ取り早く、脅して盗…

逃亡

ぎゃ~~! ものすごい声は、 「あ!ショウ!」 私は何も考えずに飛び出した さっきの男の言葉がよみがえる 私がと玄関のほうに飛び出していくと ボウっと立っている女 「この糞坊主が!なんだよ!糞女!話が違うじゃねえか! 何処に金持ちのババァがいるん…

逃亡

ショウ? いや、男と女の二人組だ 私は、あ、やばい! 何が何やらわからないが、鍵を持っている この部屋の鍵はショウと私しか持っていない こっそりベッドから出ると、スマホを持って 部屋の隅に隠れた 「外からじゃわかんねえな~金持ちじゃん このテーブ…

逃亡

何日か一緒に暮らしてみると ああ、お金がないのか?と気が付いた 食費、その他、十分すぎるほど渡しておいたはずだが 何かに使ったのだろうか? 別に何に使っても構いやしない 彼が普通の高校生らしく過ごせるのならば 無駄なお金なんかにはならない 「ショ…

逃亡

私は東京の住所を巴さんに渡すと 「はい、この話はこれでおしまい 二人に幸せになってほしいのよ! 巴さんもね!東京に出てきて困ったことがあったら 訪ねて来て頂戴」 私はそう言って、ちょうど来たタクシーに乗った もっと、早くこうしてあげればよかった …

逃亡

「あの、いいんですか? 私と旦那さんには、本当に何もなかったんですよ」 「大丈夫!わかってる! 巴さんが気にすることじゃないのよ あの二人、かずさんと旦那の幸せのためよ」 「え?あの二人も何もないですよ 私、あそこでは、ずっとかずさんと同じ部屋…