発達障害の母

こういう話の時に母の瞳の奥に 口ではいやらしそうに話すのに 嬉しそうな光が宿るのが悲しくなる そう聞いてから、私はできるだけまめに その窓を見ることにした 弟というのは、この辺りの中学生そのものだ 悪でもなければ真面目でもない 私の同級生にもたく…

発達障害の母

だから、この土地に帰ってくるのは嫌だったのだ 母のような人間が大手を振って生きていける場所 母が発達障害ならば、周りの人間はまるで正気ではない でも、わかってはいる だって、ここで生きていかなければならない人間にとっては どんな悪口を言いながら…

発達障害の母

「その子供はどうしたの? 誰の子供?」 「その子は子供が生まれるころ 拓ちゃんが結婚して、その奥さんと育てたんだよ 子供を産んだ、拓ちゃんの妹はどうしたの?」 「東京に出たんだよ それで、水商売か何かやってて二号さんになったんだよ」 「ふ~ん。拓…

発達障害の母

母は周りに誰もいないのにコソコソとした目をすると「ほら、村の入り口の拓ちゃんところあそこの妹が孕んだ時ね」「ああ、拓ちゃんって私より2、3上だったよね妹は確か私より3つくらい下のぼうっと、暗い子あの子、子供とか産んだの?!いつ結婚したの?」…

発達障害の母

男の影はない でも、どこでもチャンスがあればできるはずだし もしかしたら、たった一回のレイプだったのかもしれない こうして、私が悩んで手をこまねいているうちにも 赤ん坊はどんどん大きくなる そうなると母親の目に留まるだろうから 余計なお世話なの…

発達障害の母

すると、誰もが 超真面目!しゃべらない! 父親が東京生まれとかで 田舎の子をバカにしている ブス!すね毛を剃っていない 運動神経が悪い 弟がイケメン! そんなことを話してくれた 友人はいない、休み時間も勉強してる 「彼氏はいないの?」 皆口をそろえ…

発達障害の母

そんな真面目な子 いったい、どうして妊娠なんてことになったんだろう 朝晩、ゴミ出しのときなんかに奥さんには会うが 全く気が付いている様子ではなく明るく、元気だ 田舎の婆さんたちは悪いところはすぐに探し出し やたら噂を振りまくが、手を出そうとはし…

発達障害の母

ショートカットの黒い髪の毛 田舎の二流の高校の子なんかほとんどが髪を染めている 真っ黒の髪の毛で化粧っ気がない 今は女の子も都会の高校生並みに化粧しているのが普通だ スタイルもよくて顔もアイドルよりいい子もたくさんいる でも、その子は少し小太り…

発達障害の母

専門学校に上がる子はほとんどが美容系 もちろん、それなりにモチベーションを持って 頑張ろうという子もいないわけじゃないが ほとんどがどうしようもない子 就職する子はまだいい 都会でバイトをしながらのニートもまだいい 田舎でニートを決め込もうとし…

発達障害の母

私はたまにしか見かけないこの女の子が好きだった 田舎の高校三年生、 私の親戚の子たちは 親戚と言っても田舎のことだから、ずいぶん血が薄くても 親戚というのだが どの子も残念な子だらけだった 地元の普通科高校か農業高校に通っていて 卒業したら地元に…

発達障害の母

田舎のお婆さんのこういう目は たいがい間違いない 母は知的なことや、世の中の常識はまったく わかっていないが 性に関しては、まず、間違いない うちの横には田んぼが二枚ある その向こうに、母と同い年のおばあさんが住んでいる 立派なこじんまりとした家…

発達障害の母

あの頃は自分が世界で一番不幸だと思っていたし 母から逃げることばかり考えて 村の人間はすべて、子供から大人まで 母の子供である私を軽蔑して可哀そうだと思っている そう、考えていた しかし、こうやって大人になった目で見ると 本当に犯罪の温床だ 私が…

発達障害の母

母の近くにいると 向上心や努力が全く無駄なものと思えてしまう そして、母を取り巻く環境 私は小学校の頃からアガサクリスティーが好きで その中でもミスマープル物が特に好きだ イギリスの小さな村で、様々な事件が起きる 小説の中でもアガサはこんな平和…

発達障害の母

友君がなっちゃんのところにお金も財産もすべて持って 家庭を捨ててしまった たぶん、そこには奥さんや子供に悲しい憎しみを産んだかもしれないが その、子供たちは奥さんの実家で これをばねに、今までとはもっと、違う将来を 今までとはもっと、違うモチベ…

発達障害の母

確かに、人の道を外れることをするのは 多くの人を傷つけるのかもしれない しかし、こうして母のそばで暮らしていると 母自身は自分は間違いのない村人の手本のような 人生を送っていると思っているし 他の口うるさいおばさんたちも 私は全く間違っていない…

発達障害の母

友君のことはしばらく村を賑わしたが 奥さんが農家を全て捨てて 子供と村を出て行くことで 静かになった 誰もが友君を責めて うちの母も 「小さい頃から五十数年間 この村で、とってもいい子だったのに 何か物の怪がついたんだろうね」 まぁ、それは正しいの…

発達障害の母

小学三年生というと無邪気な8歳くらいと同じだと思うかもしれないが小学三年生までの知識とセックスがすべてわかっているということでそこが混ざると、男と女の複雑な今度の友君となっちゃんのようなことは理解の外で、全部話せばなぜ連れて帰らないのかそれ…

発達障害の母

母に言ってもわからないことだがここが、母がもう少し障害が重かったらと思うところで意味がわからずとも話は聞きたがるそして、小学校三年いや、小学校三年生に失礼だわけのわからない納得をするのだ「友君は帰ってこないよお金は奥さんがなんとかするでし…

発達障害の母

私はもう、何も言わないことにしたそして、もちろん、村の誰にも言わない友君の家族にも言わないと言って帰ってきた母はまだ、百万持ってウロウロしていた私の顔を見ると「ちょっと、友君のいるところに行ってきたのかい?はやく、このお金持って奥さんのと…

発達障害の母

2人で飲んで思い出話をしたりどんな人生を送ってきたのかそんな話をしているうちになっちゃんの深い悲しみと寂しさに気がついた友君をなっちゃんから引き離すことはできないたぶん、なっちゃんにしてみればプライドも何もかもかなぐり捨てた最後の恋だろうそ…

発達障害の母

だから、ひたすら普通に憧れてそのためにだけ生きてきたよ今は日本のごく普通の家庭の主婦子供は2人、まだ、孫はいないわ」なっちゃんは驚いたように「そうだったの!あの頃、だれとも仲良くなろうとしないし自分の世界をしっかり持って行ってみんなにキャァ…

発達障害の母

「あ〜ちゃんは?」「ああ、私はね生まれも育ちも悪いし母が発達障害だからまともな家族生活なんて知らなかったの高校も母から逃れるためにあの高校に入ったのよその当時は母が発達障害なんて誰も思わなかったのちょっと、頭のゆるい変わり者って認識だった…

発達障害の母

「その、成れの果てがここよ!これが私の財産の全て」「そうだったのね結婚は?お子さんは?」私たちの年齢ならば普通に聞く話だがちょっと、躊躇した「結婚はできなかったわ生まれが生まれだから、どんなに恋をしても相手が世間のステージの低い人だと躊躇…

発達障害の母

人を殺したいと思う時は今、その瞬間、怒りのあまりに抹殺したいと思うのだその父親の気持ちはよくわかる気がした立派に対処しなければならないことなんか十分わかっている医者ならばもっと、そうだろうしかし、ずべての発達障害がそうとは思えないが人を貶…

発達障害の母

え?「それからは、もう、ぐちゃぐちゃ!発達障害ではあったけど私は弟が可愛かったから、父を許せなかったしね父の気持ちはわかるけど自分の価値観を弟に押し付けて勝手に絶望しただけだわ母は母で寝込んでしまうしもう、うんざりして家を飛び出したの病院…

発達障害の母

うちの母がそうだマニュアルとして人付き合いのノウハウを覚えているだけで世間一般では『子供が実家を離れると心配だわ〜』親とはそう言うのがマニュアルとして正しいそう思っているから私が『私は子供を信じているしうちの子供は自分で道を切り開く力があ…

発達障害の母

コーヒーを入れて出してくれる食器マホガニーのテーブルゴブラン織りのカーテン静かに流れているショパンそして、テーブルの上の真っ赤なバラ一輪私はなぜここにきたのかも忘れてなっちゃんを見つめた「高校を出てから、慶応に合格したのもちろん、医学部で…

発達障害の母

このボロアパートの中は本当にニューヨークかイギリスのベーカー街にある古いアパートだ置いてある家具がまた、古いマホガニーの私はネットでしか見たことのないイギリス様式のものだでも、それは高校時代のなっちゃんがこの年齢になったら、使っていそうな…

発達障害の母

「そっか、あ〜ちゃん友君と同じ部落出身だったね何?親戚?奥さんのお姉ちゃん?」「ううん。中学までの同級生だよまぁ、とっ捕まえにきたんだけど」すると、友君は日雇いのバイトに行っていて夜まで帰らないというちょっと、よって行けというのでお邪魔し…

発達障害の母

「懐かしい〜何?何?飛び込み営業?」私は笑い出した「ううん、もしかして友君と住んでるのってまさか、なっちゃんじゃないよね」なっちゃんといえば高校の時の私の憧れの同級生だったいや、私だけじゃない私は地元の中学友人が絶対にいない、偏差値の高い…