発達障害の母

もう、30年以上も前になるが 修二に会ったから、母が悲しいのだ 修二はどうなったんだろう? あんなにきれいでエロくて、そして純粋だった男の子 同じ発達障害でも母とは心の色が違う 修二と別れてから、私は大学に戻るなんてこともできるはずもなく 恵子ち…

発達障害の母

母は小学校三年で知能が止まっている でも、止まっているのは知能だけではない 優しさや人として長く生きていると 正直に言ったほうが自分のためだし 相手に対しても誠実だとか 意地悪をしたり欲望のままにお金を使ったり 誰かをだましたりしないほうが、自…

発達障害の母

「こいつ、母さんの男なんだ! 最近、母さんがよこしたに決まってる 逃げろ! こんなことに巻き込んじゃいけない人ってことくらい バカな俺だってわかってるさ! 早く!もう、戻ってくるなよ!」 修二のその言葉に涙ぐみながらも 覚せい剤に拳銃! 私は怯え…

発達障害の母

修二に飛びついた左足が血まみれだ「大丈夫?救急車呼ぶ!」そう言って出て行こうとしたまだ、携帯もないし家電も引いていなかったその手を掴むと修二は「すぐ出て行くんだ!もう、帰って来るな!わかっていたんだ、2人でずっと暮らすことなんか無理だってこ…

発達障害の母

シャッターを開けると通りはいつもの街並みになっていた商店街の人たちが拳銃を持ってた男は覚せい剤か何かでおかしくなっていたらしいが姿が見えなくなったからこの辺りの組みの事務所に匿ったのだろうという話だった私はホッとしてアパートに帰った修二は…

発達障害の母

八百屋でジャガイモを買っているとパン!パン!パン!と音が聞こえた道沿いに走り回る人のざわめきと大声、怒号!昭和50年代の頃の新宿から新大久保あたりはそんなことが珍し苦はない頃で八百屋はすぐにシャッターを下げてまだまだ、田舎者の何が起こったか…

発達障害の母

それでも2年も続いたのは修二の純粋さと、私が妊娠しなかったせいだまったく、今考えたら恐ろしい.......無知ゆえに私はひたすら修二だけを見ていたし修二も母親以外の異性でとにかく大事にしたい、守りたい、そばに置きたい、そう思った初めての女だったの…

発達障害の母

二十歳前の田舎出の娘に心は純粋でも頭がちょっと足りないで女のベッドの中での扱いが抜群にうまい修二どう考えてもまともに生活できるわけはなかった毎晩、陶酔して次の日なんかどうなってもいいようなセックスをする修二に私が大学など見向きもしなくなる…

発達障害の母

食費はかけない服に興味はない踊るのも黒服の格好で踊るから人気があったんだしそうなると、お金はすぐに溜まる私は一緒に住んだらどんな風になるか全く想像できないバカだった今、思えば恋愛なんか全くしたこともなく生真面目にセックスは子供を作るための…

発達障害の母

修二はその頃興味があったのはディスコで踊ることだけだった踊りはうまかったし、見た目もいいのでフロアボーイとしては足手まといなのだが修二が女の子たちの間に入って踊るだけで絵になったし修二目当てに来る子も多かったらしいでも、他に興味があること…

発達障害の母

修二はもちろん青学の大学生なんかじゃなかったし話を聞けば、いや聞かなくても中学ほどの勉強の知識もなかった母親とそんな生活をしてきたのならば勉強をしなければならないなんてことは人生の中で全くないのだただ、生きていかなければならなかった勉強ど…

発達障害の母

私の下宿は友人を入れてはいけない決まりだった 高田馬場の近くの下宿屋で、男子学生ばかりだったところを 無理やりに安さに惹かれて、入らせてもらったから 下宿人同士の交流すら禁止だった 修二は相変わらず、店で寝泊まりしていたし 私たちは夜の公園で済…

発達障害の母

でも、修二は首を振る 「ううん。男は次々に変わるけど いつだって僕がいないとダメなんだよ」 ああ、そういう風に考えるのか 私は自分が恥ずかしくなる 私には父がいて、母親はまがりなりにも 母親という役割をやらなければと考えていた 修二の考えるように…

発達障害の母

父親は顔も覚えていない、物心ついたころには いつも母親と二人だった だいたい、東京の繁華街をうろうろしていた 母親はいつだって 「あんたはバカなんだから、もう少し バカなふりをしときなさい 計算なんかできないふりしときゃいいんだよ 自分の名前も覚…

発達障害の母

お金がなくてバイト三昧の日々 恵子ちゃんと二人、頑張ってはいるけれど ディスコなんか行けるのは一年に一回がいい所 勉強も大変だし、同じ大学生でも あのディスコに来てたような 前髪を立ち上げて、まっすぐな髪の毛をなびかせて ブランド物で身を包んで…

発達障害の母

長い時間会えるわけではなかった 私がお金がなくて忙しいから、こうやって夜話すためだけに会えても 30分がせいぜいだった でも、彼は会うと決めたら絶対にその30分のために来ていた 雨の日でも、傘もささずに待っていたりした 恋なんかには全く興味のなかっ…

発達障害の母

それに、修二の手の握り方にはまったく 男女のそれを期待しているような物はなかった 「今日は仕事、休みなの?」 修二は頷いた 「火曜日はいつも休みなの?」 「うん。」 「ふ~ん、どこに住んでるの? 遠いの?」 「ううん、あそこのディスコの休憩室で寝…

発達障害の母

ただ、嬉しそうに待っていた たぶん、彼の人生は多くの人間に裏切られることの 連続だったのだと感じた その喜ぶ目がそれを物語っていた 母がそうだった、ちょっと、足りない人間に対して 約束をしっかり守るほど 民度の低い人間たちは優しくないし、暇では…

発達障害の母

興味はなかったが可哀そうだと思った 連絡先を交換しなかったのは 単純にディスコのフロアなんか信じられなかったから 住所を教えることはできなかった それが本音だったし、恵子ちゃんと私としては バブルのどんちゃん騒ぎの真っただ中にいて 頑なにまじめ…

発達障害の母

バイトが終わって、すぐに、公園の時計の下に向かった 今日はレポートも書かなければいけないし ワイシャツのアイロンがけのバイトもあるから 本当ならば早く帰りたかった どうしても会いたい相手ではない というか、異性として興味のある相手ではないのだ …

発達障害の母

振り返れば、修二だった 昼の光の中で見る修二はまるで天使のようで それでいて、暗闇の中でしか生きていないような そんな矛盾をはらんで見えた そこに、全く知性のかけらもないような笑顔が重なって 私の好みから言えば、こんな男はごめんだと思ったものだ…

発達障害の母

講義が終わって、急いでバイトに走った うどん屋の伯父さんは講義が長引いたと言えば 私と恵子ちゃんは特別扱いで 他に何人か使っている人間はいたが 「学生さんは仕方ないよ!」 そう言ってその遅れた時間さえ時給をくれることがあった。 でも、それに甘え…

発達障害の母

そんなわけで、どうしようもない感じで修二とは別れた 「また、絶対来てね!」 その言葉の修二の目はまるでもう一度会えなければ どこかに沈んでいく、カワウソのようなまなざしに思えた それでも、恵子ちゃんと二人で帰りながら 「『また!はないよね~、来…

発達障害の母

それでも、その頃の下宿してる貧乏な学生なんか 電話を部屋にひくこともできず 携帯が普及している時代じゃなかった それこそ、今時のお笑い芸人が肩に担いでいる 大きな携帯がやっと出てきた時代でもあった もちろん、修二も電話なんかある生活はしてはいな…

発達障害の母

修二に気を使って、優しく話していると 恵子ちゃんがやって来て もう帰ろうと言う もちろん、私も帰ろうとすると 修二がものすごく困った顔をして、入り口までやってくる 私たちは最初に入ったときは女の子はもちろんただだし 飲み物は何杯か飲んだがそれは…

発達障害の母

母もそうだが、このタイプの人は嘘が下手だ いや、嘘がつけない、すぐにわかる 声が小さかったが、通りすがりの別のホール係が 「彼女~気を付けなよ、そいつ悪いやつじゃないけど バカだから!いや、騙す気持ちがあるわけじゃないんだけど 見栄っ張りなんだ…

発達障害の母

修二はすぐに気が付いて 私を誘って、バックヤードに連れて行ってくれた 「あいつ、やめといたほうがいいよ! この辺のチンピラだけど、あいつの上のやつらが怖いから」 「ありがとう」 そう言って、何か飲み物を頼まなきゃいけないかしら そう迷っていると …

発達障害の母

ディスコは楽しかった 女の子はタダだったし、踊りは踊れなかったけれど 恵子ちゃんも私も十分にモテた それでも、二人ともこんな遊びができるのは 一年に一回だってわかっていたから 適当にかわし、踊りを教わり、飲み物をおごってもらった 修二はそこのフ…

発達障害の母

「今月、バイト代、少し多かったじゃない? これで、ディスコってところに行ってみない?」 二人ともバイトに明け暮れる毎日 食べ物はお互いの田舎から送ってくれる野菜を 二人で持ち寄って料理した 最初は楽しかったが、周りが浮かれている 私たちの大学は…

発達障害の母

それでも、私自身は父がそうであったように 母のようなタイプの異性に弱いのかもしれない コンプレックスを抱えて自信と言ったら 何とか大学に合格できた事実だけで それもガリ勉の末の話で 東京の余裕がありそうなスマートな学生の中で 毎日、泣きそうだっ…