魔女

瑞樹ちゃんは少し汚れたTシャツと 黒いカボチャパンツをいつも着ているのだが 私たちと知り合ってから二週間近く ずっとその格好で、髪の毛も洗ってもらっていない? 下着すら替えてもらっていなかったようだ 子どもだから、匂いもそうきつくはなかったが …

魔女

正野さんのような人と喋るのはストレスで 世の中に、文学や政治、歴史、 そんなことに全く興味を持たない人がいることを初めて知った 私の家では父が歴史が大好きで、だいたい、家族で話していると 気がつけば、そんな話ばかりしている 友人はだいたい本好き…

魔女

それは二週間くらいのことだった 引っ越してきて、くうちゃんと遊ばせたのは二週間くらいだった 遊びに来るように言われると 私はくうちゃんだけを遊びにやることはしなかった それは、私のバイトの時間でもあったからだが そうなると、正野さんは私がずっと…

魔女

私は『頭が悪い!』という言葉は 世の中でNGワードだと長いこと思っていて 使い始めたのは40代後半に入ってからなのだが その頃の私に教えてあげた その女は頭の悪い、怪しいやつなのだ しかし、その頃の私にとっては不思議な人でしかなかった 「あなた、…

魔女

田舎の高校ってやつは、本当に同じ価値観がで成り立っていて ちょっと、違うことをしただけでも不良呼ばわり そして、その不良ですら同じような人たち 高校を出て1,2年、東京に出て来ても 周りはほとんど学生、それも偏差値が一緒くらいなのだから 真面目な…

魔女

お母さんなのに長い髪 今時ではこんなことは思いもしなのだろうが 私は母のことや、知ってるお母さんたちは だいたいショートカットか後ろで結んでいる まぁ、あの頃、おしゃれな人が周りにいなかった 私自身、高校の頃まで父の友人の散髪屋に行っていたせい…

魔女

そのころの私には何一つ見えてなかった 正野さんって人は子供をだしに私と話したかったようだ 私に興味があったとかではなく 人と話すのがただ単純に好きだと言う感じだった 実は私は学生でくうちゃんを預かっているのは 夏休みのバイトなのだと説明したかっ…

魔女

白と黒で統一されたサッパリした部屋 くうちゃんはすぐに 「瑞樹ちゃんのおもちゃはないの?」 私の部屋は貧乏な学生の部屋である代表のような部屋で 何にも置いていない、電気炬燵が一つ それが家具のすべて 服は押し入れに収納できる量だし お茶碗とお味噌…

魔女

私の中にしっかりした固定観念として 子供がいる家庭というものがあったため くうちゃんのところは父親が性格的に問題がある そのための手助けだと思っていた しかし、この、瑞樹ちゃんのところはよくわからなかった その頃の私は、まだまだ、知らないことだ…

魔女

くうちゃんがかっこいい人は きっと優しいと勝手に信じている 私にはその、旦那という若い男は優しそうには見えなかった そして、正野さんの言う、私が苦労していると言う 彼女の言った意味も解らなかった 私は家庭というものに対して、その頃 ものすごく固…

魔女

一週間くらいすると、部屋が片付いたから 遊びに来いと言う 私は興味津々でくうちゃんと遊びに行った 驚いたのは瑞樹ちゃんのパパもいたことだ いや、多分、パパではない 瑞樹ちゃんがパパと呼んでいるのだが 若い!私よりも下かもしれないと思った 「いらっ…

魔女

ちゃんとご飯を食べさせているのだろうか? 私の中に、チラッとそんな思いは浮かんだが 学生であった私は母親というものは すべての母親が子供のことを想っている そう信じていたし、そうじゃない例などは 今考えると、あまりニュースなどで大々的に 取り上…

魔女

瑞希ちゃんはそのご飯を見ただけで 「あ、白いご飯!」 それは、ここに来て始めての 感情のこもった瑞希ちゃんの声だった 「ふりかけかけて食べてね」 そう言うと 「ふりかけ?」 くうちゃんが 「そう、これかけて食べると、すっごく美味しいよ」 そう、教え…

魔女

次の日から毎日のように瑞樹ちゃんは遊びに来た くうちゃんは大喜びだ バイトであるし食費も貰っている 私はおやつを上げたり、食事をとらせたりしながら お昼になっても迎えに来ない正野さんにあきれたが くうちゃんに食べさせて、瑞樹ちゃんに食べさせない…

魔女

引っ越したばかりだと言うのに 正野さんは素敵な服を着ていて 良く似合っていた 私はその頃学生で、いくらバイトで稼ごうと そのブランドの服には手が出ない しかし、裕福な大学な友人にはよく流行っているもので 羨ましい目で見た しかし、瑞樹ちゃんの服は…

魔女

正野さんは次の日 瑞樹ちゃんを朝の10時ごろに連れてくると 「引っ越しの荷物が片付かなくて ちょっと、遊んでもらってもいいかしら?」 私はバイトという感覚があったから そんな責任は持てないと思ったが くうちゃんは大喜びで瑞樹ちゃんを部屋に入れてし…

魔女

でも、私の家では小さなころから 子供に手を挙げることなど論外な家で 親族の半分が学校の先生だったこともあって 子どもは大事にするものだと言う認識だった くうちゃんを取り巻く環境は可哀そうすぎるのを見て 預かることにしたのだが くうちゃんは小さい…

魔女

その頃は子供の虐待なんてことは知らなかった 私の子供の頃 友達に早苗ちゃんという子がいた 仲良しでジャングルジムの上で話すのはいつも早苗ちゃんだった ある時、早苗ちゃんが体育の前の時間に着替えをしていて 私は彼女の背中にミミズ腫れの痛々しい後を…

魔女

その瑞希ちゃんって子は 母親には全く似ていなかった くうちゃんは人見知りしたり、恥ずかしがる子ではなかったから 「くうちゃんは明日ひまだよ ね!お母さん!」 そうハキハキ言うと 「あした、遊ぼ!」 そう誘った その、母親にちっとも似ていないずんぐ…

魔女

私のアパートのすぐ上に彼女は引っ越してきた ちょうど、くうちゃんが来て一週間くらいの頃だ くうちゃんは来てすぐから おばあさんに新しいお母さんだと言い含められたらしく 私のことを『おかあさん』と呼んだ 驚いた私は、握っていた小さな手を放したが …

魔女

子どもは、くうちゃんの下に二人いて 小さな赤ん坊は一緒に暮らしている母親らしき人に 預けっぱなしで自分ではおむつも変えないらしかった そのくうちゃんのお婆さんらしき人も あまりまともそうではなかった 田舎の息子が母親、嫁、子供たちに暴力をふるっ…

魔女

彼女とものすごく仲が良かったのは 今から30年くらいまえのことで 私には小さな女の子がいた その女の子は私の子供ではなく 色々な経緯があって、私ならば母親が服役している間 問題なく見てあげられるだろう そう、白羽の矢が立てられた 子供など全く育てら…

おばさんであること

しかし、誰かにそう言うことを大ぴらに言うのは さすがにはばかられる 真っすぐで間違いがなければ、長生きして幸せな毎日を 遅れるかと言えば、全く違う 真っすぐで間違いなければ、少しバカなんだろうと思う 世の中の多くの人間は 周りがそうだから、周り…

おばさんであること

世間で言われていることの何と間違いが多いことか 愛のないお金目当ての結婚を責めたりする世間ではあるが 60近いおばさんになってくると たくさんの例を見てくるから それが真実ではないことを知っている 大恋愛で結婚した夫婦のほうが離婚率は高い そして…

おばさんであること

明美は金銭的には裕福だから 夫の下の世話まではしなくていいはずだが それでもうっとうしい 美也のほうは大輔のことがあってから 家庭のことに一生懸命になるのが嫌になっている もちろん、一生懸命になることでいい結果がでるのならば それでいいのだが、…

おばさんであること

不思議なことに大恋愛の相手とは 結婚まで行かずに、何となく親や親戚が納得しそうな相手 そういう男を選んで夫にした それは世の多くのおばさんがそうだろう 経済力があって、見た目も悪くなくて 子供が生まれて家庭を持ったときに、常識を大事にしてくれる…

おばさんであること

満里奈は珍しくあっけらかんと言う その、様子は実は本当にうれしそうなのだ 明美は不審そうに 「いったい何? いい男でもできたの?」 「まさか!だって、うちは子供はいないでしょう? もう、私たちも60に近いじゃない 若いころのように、夫の身の回りの世…

おばさんであること

三人が食事をしているのは満里奈が新しく買ったマンションだった それぞれが、得意な料理を持ち寄った 「素敵ね~私もこんなマンションで一人暮らししたいわ」 明美はさっきから部屋を見たり 窓からはるか下の外を見てうらやましそうに言った 美也も少しうら…

おばさんであること

はっきりと、二人が付き合っていることを知った満里奈は 夫にそれを確かめた 夫は写真を見せられると恥ずかしそうに頭を下げた しかし、遊びではないことも満里奈には気の毒そうに 伝えてきたし、満里奈は小指から先も 心を乱してないし、応援していることを…

おばさんであること

満里奈は明美の話を聞いてから すぐに探偵を雇った それは、夫とスミカの関係が本物ならば 二人を糾弾しようとしてではなかった 満里奈は子供が生まれない自分を長いこと 卑下していたし 夫に何よりも済まないと思っていた それは、どんな正論を聞いても ど…