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発達障害の母

「雅ちゃんの話聞いたかい? 首くくって死んだんだってさ 罰当たりなことに あのお宮さんでさ 村で折角、お金集めて建て替えたのにさ あそこで自殺なんかしたんじゃ 誰も寄り付かなくなるよ 子供も作れない女の最後はあんなもんさ」 母の言葉に普段なら 余計…

発達障害の母

ネコはすぐに同意してくれた 「そうだな、ほんとそうだよ 雅ちゃんには雅ちゃんなりに貫きたい人生はあったんだよ」 「あの旦那、わざと子供作らなかったって噂だぜ ひどい話だよなぁ あそこのばあちゃんもすげぇけど そんで、みっちゃんとこの後家が雅ちゃ…

発達障害の母

「東京で借金こさえて帰ってきたとか 離婚されて逃げて帰ってきたとか やっぱり、あの母親に似ているから馬鹿なのだとか あんなやつのために泣いてやることはないよ 嘘ばっかり村中に流してたんだから」 私はやっと、涙が止まり 少し笑いながら 「その、最後…

発達障害の母

「それで、その足元に離婚届の紙が落ちていたんだ もちろん、旦那のサインいりのさ」 ネコが 「それで、もめてるんだよ お互い遺体を引き取りたくないってさ 俺が出て行って引き取って、何とか葬式出してやってもいいんだけど それも、年寄りたちが、出しゃ…

発達障害の母

私にとっては少しも興味のない相手で あの時、ここで話した限りでは 小学校のころから全く変わっていなかった そんなことを思いながらコーヒーを飲んでいると ネコと友くんが喪服で入ってきた 「まいったな~ 雅ちゃん、かわいそうにな~ 誰も遺体を引き取り…

発達障害の母

次の日、店に行ってみると 珍しく友くんは来ていなかった 「何かあったのかしら?」 コーヒーを頼みながらマスターに聞くと 「あの、雅ちゃんが自殺したって」 「え?」 私は立ち上がって、行かなきゃと思ったが すぐに、いったいどこにって思いなおした こ…

発達障害の母

「楽しかった?良かったわね~ 子供のころからの親友っていいわねぇ~」 そんな風に機嫌を取ろうとする 私にしてみれば、今、話を聞いてみれば 友くんもネコも私が子供の頃悲観していたような ひどいことは思っていなかったし かなり同情してくれていたの知…

発達障害の母

ネコはさすがに村長だ雅ちゃんが一人になってからもちゃんと食べていけるように仕事を考えてあげている「いや、ありゃ、仕事なんてできる状態じゃないぞ子供もできなかったし旦那にベタ惚れだったから立ち直れないんじゃないか」そんな話をして帰る雅ちゃん…

発達障害の母

ネコは笑いながら 「俺だって、あんな爺ちゃんや父ちゃん 恥ずかしいだけだったよ 子供のころは村の誰彼に爺ちゃんが余計なことを言ってるのを 見るたびに、穴があったら入りたかったよ あ~ちゃんだけじゃないさ」 「ま、いいじゃん 二人とも死んじまったん…

発達障害の母

雅ちゃんに最初に会ったからなんとく村中から下に見られているのは子供の頃から何十年立っても変わらないんだと母のことさえなければ2度と帰ってこないのにそう、思っていた気持ちがす〜っと消えていく友くんのことは気があう話しやすいやつだとそうは思っ…

発達障害の母

すると、ネコはおもむろに 「あ~ちゃんは、何かと苦労しただろう? でも、俺たちみんな、あ~ちゃんはあ~ちゃんだって 思ってたんだぜ 子供のころは親の噂話とか 子供に聞かせちゃいけないなんてこと 思う大人はほとんどいなかったからな 俺、あ~ちゃんの…

発達障害の母

「馬鹿言えよ! 俺、結婚したの30の時 恵子は24だぞ!めちゃ普通!」 私は一瞬にタイムマシーンであのころから戻ってきた 「だって、恵子ちゃんって一年生の時の 天使みたいな時しか知らないから そうだよね、大人になってるね」 そう、言って三人で笑う…

発達障害の母

母は知的レベルは低いくせに 姑息な手段をとったり、人に取り入ったりすることは うまくできたりする そういうところ、娘であることが恥ずかしくなるのだが いっても仕方がないので はいはいと適当に返事をする それよりもネコと話しはしたが 子供がいるなん…

発達障害の母

「つうちゃんはやりてだからね 今の村長さんに取り入って 自分の娘をあそこの長男と一緒にしたいんだよ あんた目当てに村長さんがコーヒーを飲みに わざわざ、行ったって話をしたら きっと、あんたに頼みに来るよ」 「ネコ、あ、今は村長だけど まさか、私に…

発達障害の母

遅く帰ったりすると 母が自分で私の分も料理を作ってくれている 年を取ると自分で料理しなくなるから できるだけ自分でやって自分で食べるようにしたほうが 認知症対策にもなるなんて話は知っているが 母の料理はまずい 猫舌の上にまともに字が読めないから …

発達障害の母

ネコは困ったように笑って 「だからさ、うちの父ちゃんが やたらハワイ行ったり、株に手を出したりして 一度、うちは破産したんだ じいちゃんは首をくくって 父ちゃんは行方不明!」 「え~!!!! ほんとにそんなことになってるの? ネコは今、何してんの…

発達障害の母

そして、誰が考えてもやりそうにないネコが僕がやりましたと手をあげてその次の日お金を持って来たのだでも、結局、それはミナの仕業だったってすぐにわかったのだミナが村の雑貨屋でお金を使っているところを誰もが不思議に思っていたミナの家は親がケチで…

発達障害の母

いつだって村中で幅を利かせて偉そうに歩き回る祖父と父親をごめんよ〜って顔で見ていたネコ本当にいいやつだった「あ〜ネコといえばあの事件を思い出すだろう?」友くんのその言い方ですぐ思い出した小学校五年生の時に亡くなったお金あれはなんのお金だっ…

発達障害の母

いつもの時間にいくとマスターが嬉しそうにいつものコーヒーを淹れはじめ友くんは片手を上げた今日は彼の横にどこかで見たことがあるようなおじさんが座っていた「おう!こいつ誰か思い出す?」ジャージの上下に運動靴頭はほとんど禿げ上がっているがその目…

発達障害の母

いつもの時間にいくとマスターが嬉しそうにいつものコーヒーを淹れはじめ友くんは片手を上げた今日は彼の横にどこかで見たことがあるようなおじさんが座っていた「おう!こいつ誰か思い出す?」ジャージの上下に運動靴頭はほとんど禿げ上がっているがその目…

発達障害の母

母の言葉を文にしようとするからこんなふうにある程度はわかりやすくなるのだが実際は主語述語はめちゃくっちゃだし自分の目的である話をする途中で別のことを思いついたり別のことが目に入ったりすると話は無茶苦茶で四六時中そばにいる私でもよくわからな…

発達障害の母

私が家に帰って母にみっちゃんの話をすると嬉しそうに「ああ、あのみっちゃんは結婚する前にあ〜ちゃんがずっと好きだったって行ったとか言わなかったとか村で随分話になったものだよ先生の奥さんはいっつも私をばかにしてたからねいい気味だったよみっちゃ…

発達障害の母

それが、ある夏休みに中学生の男の子を誤診しちゃって、大病院に送るのが遅れたものだったからその男の子は命を落としてしまったのだ村の人は誰も彼を責めなかったしその男の子の両親すら仕方がないことと諦めたんだけどみっちゃんはそのことで自分を責めて…

発達障害の母

「ははは!それは誤解!私のあの頃は東京でもがいてたからなぁ」すると友くんはしんみりと「わかるよ俺もトラックの運ちゃんやってた若い頃関西に2年いたからな田舎者には何かときついよな」「そうなんだ!みんな何かとあるねそれで、みっちゃんは?医者にな…

発達障害の母

「東京のあ〜ちゃんは水を得た魚のように生き生きしていてアパートの前でちょっと見かけただけだけどちょうど外車で彼氏が迎えに来ていて遠くから見ても、この村の呪縛から解き放たれたように見えたって、それを見たときに田舎の医者の息子なんかあ〜ちゃん…

発達障害の母

でも、みっちゃんの母親が言っていることが子供心にもそんなに的外れなことではないそう思っていたからみっちゃんとは犬と人間ほど隔たりがあると思っていたそれがみっちゃんの恋の対象が私だったなんて驚く以外にない人は恋愛をするにしても自分と同じステ…

発達障害の母

その頃、みっちゃんが学校では群を抜いての優等生だったのだが国語や本を読む数ではダントツに私でみっちゃんだって私がいなければ作文だって立派なものだったのだがそればかりはいつだって学校の代表は私だったそれが気に入らず『作文を書くのが上手なんて…

発達障害の母

「そんで、告白するつもりだったけど言えないままだったってさ!結婚相手は親が決めた人だったからあ〜ちゃんに、どうしても言いたかったみたいなこと言ってたからな」私はびっくりしたがもう、30年近く前の出来事だ「でも、無理だよあそこの親が私を嫁にな…

発達障害の母

「だって、うちなんか.....さっきの農協の男の子の親あの彼が性に合ってるレベルだったんだよまともな家の男の子とは付き合えるとも思わなかったよ」「そうか、まぁ、俺は違うけどそれに、みっちゃんも違ってたぞ中学の頃、本の話や難しい数学の問題そんな話…

発達障害の母

雅ちゃんとそこの強欲婆さんの話は置いといて私はみっちゃんの話が聞きたかった「みっちゃん、頭、良かったし性格も良かったのにやっぱり医者の不養生?」すると、友くんは「あ〜ちゃんに会いたかったと思うよあ〜ちゃんがあの大学行く前の春休みにあいつの…

発達障害の母

それから友くんは私が行くくらいの時間を見計らってコーヒーを飲んで待っているちょうど、その時間が農作業の休み時間でもあるらしい「ねぇ、あの星田のみっちゃんあの人死んだんだって?」すると、昨日の村の女たらしだった彼の話とは全く別人のように「あ…

発達障害の母

結婚の前に二、三ヶ月実家に帰っていたことがある父が相手先の格式の高さを心配してこの村から30分くらい離れたところにいるお茶の先生やお花の先生に通わせてくれた母はその時、自分の踊りの練習に夢中で私が通っていることも知らなかったし今もお茶もお花…

発達障害の母

片付けは母の大好きなことだが右のものを左に置いてまた、右に置き直す買ったものを白い買い物したら入れてもらうビニール袋に入れて押し入れ深く入れておくいざ使うときにはいったいどのビニール袋に何が入っているのかさっぱりわからないそんな類のものだ…

発達障害の母

驚くような話だ「え?それで、そんなたらい回しみたいな育て方であんな爽やかな子が育ったの?」私早く母のこともあって子供達の教育には心を砕いた。そんなやり方でうまく行くのならば私の今まではなんだったのか?それで、思わずそんな言葉が出た「うん、…

発達障害の母

崖くずれはあいつの家を直撃した息子は夏季合宿に行っていたから助かったんだけどもともと、ここの人間じゃないから村はずれの山崩れが起きやすそうな安い土地を買って家を建てて住み始めたから村の人達はなんとなく危惧はしてたんだけどまぁ、よそもんだし…

発達障害の母

へ〜私がここにいない間いろんなドラマがあったんだと感心するこの空気が膿んだような村なのにそんなドラマみたいなことがあったのかそう感心していると「ドラマみたいだって思っただろう?でも、本当のドラマはここからなんだもう、数十年も前に崖崩れがあ…

発達障害の母

なんだか、横溝正史かなにかの小説でそんな話を読んだような気がしてこの村は八つ墓村か!とツッコミを入れたいところを我慢して「それで、あの子が彼の子供ってどう言うこと?私の知っている限り彼に農協の勤めるような立派な子供ができるなんて考えられな…

発達障害の母

30数年前がパッと蘇って来てなんて馬鹿な娘だと自分に腹がったったが友くんにして見れば懐かしい思い出で「俺さぁ、よっぽどあ〜ちゃんに注意してやろうと思ってたんだぞま、あ〜ちゃんは村の人間が考えてたより数倍頭が良かったからなあ〜ちゃんがいない高…

発達障害の母

「あの頃、村中で心配してたんだこの村から初めて大学に行く子なのにあんな奴に捕まってどうなるんだろうってあいつの女グセの悪さは有名だったんだけどあいつの叔父さんが博多あたりから来てヤクザみたいな奴だったから誰も何も言えなかったんだこう言うこ…

発達障害の母

友くんとひとしきり思い出話に花を咲かせているとさっきから農協の若い子達が引き上げて言った最後に残った、さっきの若い男の子がお会計をしながら「おじさん、今月は菜の花が最盛期で大変だろう?でも、おじさん地の菜の花は特によく売れるから頑張ってな…

発達障害の母

そこに新しい客が入って来た農協の若者たちに声をかけると農作業用のつなぎの格好でカウンターに座るあっと私が気がついた時に向こうから「あ〜ちゃん、母ちゃんの世話に帰ってるんだってな!このくらいの時間にはここによくコーヒーを飲みに来てるって聞い…

発達障害の母

私は春休みの2週間あまりでその男の子に徹底的に弄ばれたそれからは東京での生活しか知らず田舎に帰ることもなかったからただただ、苦い思い出としか言えないが今、数人の農協の若い職員だというその中の男の子の一人があまりにもその、彼に似ているでも、彼…

発達障害の母

その、男の子は中学の卒業式が終わった頃村の塗装屋に遠い親戚だと都会からやって来たらしいその頃には私は親戚の下宿先に行っていたから、それから三年間の彼の行状は全く知らなかった「君、この村の人なの?」そう言って近づいて来た全く男子など見向きも…

発達障害の母

合格はしたが身の丈にあった高校ではなかった多くは県内から集まった優秀な家柄の良い子供達で特に遠くから来ている子はお金の余裕もある子たちが多くひたすら勉強についていく三年間だったそれでも、なんとか同じ学年の中でも恥ずかしくはない程度の大学に…

発達障害の母

その男の子の顔を見て何かがよぎったそして、馬鹿だった昔が蘇ったそれは大学に入学する前の春だった気がする高校時代、私は親戚の家に下宿していた私の中学からは電車で一本のところに学年の半分は行く高校があったのだが私はそこに今の家から通うのが嫌で…

発達障害の母

今日は珍しく若い人が多かったこの、小さな村で若い人を見ることはほとんどないこのカフェでも通りすがりのドライブの途中の若者はたまに見かけるが今日の4、5人はなんだか地元っぽい「マスター、あれってここの人?」「ああ、役場の若い職員月イチくらいに…

発達障害の母

毎日コーヒーを飲みには行くが時間は決められない母私の手がいるわけではない生活ははたから見ればほとんど普通だししっかりしているし体の健康も申し分がないでも、私が一人で外に出たり用事をしたりするのを極度に嫌がる「せっかく一緒にいるんだからなん…

発達障害の母

少し意地悪な小学生のように大人なら絶対にしないような言い方をしたりする教師が少し言い間違いをしてもすぐに揚げ足をとって喜ぶように相手の間違いを遠慮会釈なく笑い、蔑みそして、その後も長いこと言うこの嫁は少しおかしいと許そうと思っても人間だか…

発達障害の母

むかし、うちの家は周りが親戚だらけだったすぐ上に祖父母、横には叔父夫婦母にとっては姑と兄嫁がすぐ近くに住んでいることになる母はものすごくいじめられて大変だと自分の身内に愚痴を言っていた子供の私はそういうものかと別に気にもせずに過ごしていた…

発達障害の母

誰も変わってないんじゃなかろうか私もそうかもしれない小さな子供の頃から母親が好きだと思ったことが一度もないそれは家族みんなだった気がする母親以外は人間として言ってはいけないそんな言葉は知っていたから母に対して不満を浴びせはしなかった父はお…