速水の悩み
発達障害の母
恋ちゃん・・・・・
母の従妹の結婚した相手の弟のところの子供だ
こっちに帰って来て
話に聞いたことはあるが、確か、女の子としか知らない
『恋』って名前だってことが印象に残ったくらいだ
田舎ってやつは、だいたい、みんな親戚なのだ
「それで、あんたに歌を聞いてもらってから
話をしてもらおうってことになってね
今度の日曜日に遊びに来るって言うから
ちょっと、聞いてあげてよ!」
え~!!!!!うちの夫は商業施設のプロデューサーで
その伝手で芸能関係とも繋がりがないわけじゃないが
いい加減にもほどがある
私にいたっては歌のことなんか何も知らないし
全く興味もない
速水の悩み
発達障害の母
母親にうちの夫の仕事をいくら説明しても理解できない
母がわかるのは小売業の商売人
田舎によく来る、怪しいマッサージ器を売りつける
セールスマン
町役場の職員や地元の公務員
だいたい知り合いは農家、土木作業員、
地元企業で働いているパートさんたち
それがすべてで
その上で企画をしたり、予算を考えたりするような仕事の人は
全くいないから理解できない
ただ、夫の名刺の肩書が
総合プロデューサと書かれているものだから
何となく偉そうだと思っているようで、すぐ、自慢して回る
今日も親戚のおばさんのところにお茶を飲みに行って
ご機嫌で帰ってくると
「ね、え、ちょっと、あそこの恋ちゃん、
歌がものすごくうまいのよ!
あんたの旦那のところで売り出してほしいって言うんだけど」
速水の悩み
発達障害の母
どっちにしろ、私の従妹の子供は
この村や町出身子は大学に行く気はない
いや、行けないと言ったほうが正しい
将来に何の心配もしていないのだ
なりたい職種がなければ、高校を出てアルバイト代わりに
女の子なら近くのうどん屋なんかの飲食店で働き
男の子は工務店や石材屋で働く
数年働きながら、彼氏、彼女を見つけて年頃になれば
結婚をする
親は教育費はろくに出さないくせに結婚式の費用は
しっかり出してやるそして、農家を継ぎ、まだ親が元気なうちは
今までの仕事を続ける
何と理想的な襲名制度だろう
歌舞伎界よりも完璧だ
そこにはスキルはいらない、普通ならいいのだ
その代わりに楽しいことは少ない
達成感ってやつを感じることはあまりないからだ
だから、やたら、恋愛が変形してくるのかもしれない